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2014年09月30日23:35

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The Grand Illusion & Pieces Of Eight

前に書いたとは思うが、私はスティクス(Styx)というバンドが好きである。

アメリカには根付かなかったプログレッシヴ・ロック。
カンサスとともにアメリカでプログレとして成功した数少ないバンドである。
ちなみにジャーニーやTOTOやボストンはプログレではなく、プログレ風のハードロックである。まあ、そんなジャンル分けは無意味だが。

メンバー間の確執により出入りが激しくなってから聴かなくなってしまっていたが、ここ最近の映像作品を見て、やはりいいバンドとの認識を新たにした。
しかし、今のスティクスにオリジナル・メンバーのデニス・デヤングはいない。

デニスのいないスティクスなんて、と思っていたことは認める。
彼こそがスティクスの中心人物だと捉えていた。
しかしそれは間違っていたようだ。

出世作『The Grand Illusion』と次作『Pieces Of Eight』という二枚のアルバムを完全再現したライヴの映像作品がある(2011年)。
これが素晴らしい。

メンバーは、
 ジェイムズ・ヤング(JY):ギター、ヴォーカル
 トミー・ショウ:ギター、ヴォーカル
 リッキー・フィリップス:ベース
 ローレンス・ゴーワン:キーボード、ヴォーカル
 トッド・ズッカーマン:ドラムス
 チャック・パノッツォ:ベース
となっている。
オリジナル・ベーシストのチャック・パノッツォはHIV感染の闘病中ということでゲスト扱いとなっている。というか、名誉ベーシストという位置付けのようだ。一気に老け込んだ姿に凄絶な闘病生活が察せられる。
オリジナル・メンバーのJYは気の良さそうなオッサンになっている。メタル系ヴォーカリストのような声は健在。
デニス・デヤングの代わりと言っては失礼だが、ローレンス・ゴーワンは声質もデニスによく似ていて、キーボードのテクニックにも素晴らしいものがあり、穴を埋める以上の存在感を放っている。違和感を覚えなかったのは彼がバンドの一員としてすっかり溶け込んでいたからだろう。
ベースのリッキー・フィリップスも堅実なプレイで支えている。髪を整え髭を剃ったらなかなかのイケメンだと思うが、かなりのオッサンらしい。
そしてトッド・ズッカーマンのドラム。彼は現代最高レベルのロック・ドラマーに違いない。テクニックもパワーもグルーヴ感も抜群だ。この剛柔自在の叩きっぷりは凄い。彼とスティクスの付き合いは長く、ジョン・パノッツォ急逝の代役を務めて以来続いている。いいドラマーを見つけたものだと思うし、名ドラマーとしての名声を得てもなおスティクスに留まってくれていることを感謝したい。
というわけで、むしろバンドはパワーアップしているような印象なのだ。

名作二作の再現はオリジナルに忠実にかつよりエキサイティングに繰り広げられていく。
初めてライヴで演奏される曲も数曲あったようで、かなり気合が入っていたようである。

さて、今やスティクスをリードしているのはトミー・ショウであろう。
スティクスが飛躍したのはトミーを迎えてからのことである。あの頃は間違いなくデニスとトミーはスティクスの両翼だった。
ここではいくつものヴィンテージ・ギターを持ち替えメロディックなギターを聴かせる。髭面は似合わないが、往年のルックスを維持しているようだ。そして驚くべきはその少年のような声がそのままであるということ。

そう、スティクスの歌や演奏には年を感じないのだ。

そしてトミーもJYも全くスタンドプレイに走ることなく、バンドとしてのアンサンブルを重視しているようだ。なのでトミーとJYとゲストたちというような寄せ集め的な雰囲気は一切ない。バンドとしての一体感というものを強く印象付けられる。

見応えのある映像作品である。

彼らには学生オケと共演したライヴの映像作品もあって、こちらもご機嫌だ。
オケは上手いとは言えないが、楽しそうに演奏している姿に好感が持てる。
ここではスティクス・オリジナルはもちろんのこと、珍しくカバー曲も演奏していて、これがなかなか良いのだ。
ただしここではデニスの曲は封印している。

ところで、かつてのミスター・スティクスだったデニス・デヤングだが、彼も音楽活動を続けている。
近々ライヴ映像作品がリリースされる。スティクス・ナンバーばかりを集めたライヴだったようだ。自作曲だけでなく、トミーの曲も演奏しているらしい。
確執が深いとはいえ、曲の素晴らしさは認めているということか。

いずれは和解できるときが来るのだろうか。

古くからのファンとしてはそうあってほしいと思う。
しかし今のスティクスも継続してほしい。
複雑である。
けれども30年以上も昔にピークを迎えたバンドに対してそう思えることは贅沢なことなのかもしれない。
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