土曜なのに夜のコンサートというのはどうだろうと思う。
マチネーと掛け持ちできるという意見も確かにあるが、ゆっくり夕飯が食べられないのが困る。やはり休日の夜は美味い酒と料理で過ごしたいじゃないか。
とはいえ、今日は休日出勤だったので、夜で助かったとも言える。
さて、今日はすみだトリフォニーホールにてアマオケのコンサート。
そこにわれらが三浦友理枝嬢が登場するのだ。しかもラフマニノフの2番を弾くのだ。これは行かざるをえまい。
木村康人(指揮)、一橋大学管弦楽団
三浦友理枝:ピアノ
01.ボロディン:だったん人の踊り
02.ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18
<アンコール>
03.リャードフ:音楽の玉手箱
<休憩>
04.フランク:交響曲 ニ短調 作品48
<アンコール>
05.ビゼー:ファランドール(『アルルの女』より)
一橋大学管弦楽団というのは一橋大学が中心になり都内15の大学からメンバーが集まった学生オケということらしい。
出だしの『だったん人の踊り』を聴いたときには「おいおいこのオケ大丈夫か?」思ってしまったが…。
さて、友理枝ちゃんがラフマニノフのコンチェルトを弾くというのはちょっと意外だった。
実は彼女は手が小さい。それゆえに大きい手を想定して書かれたラフマニノフのコンチェルトは難しかろうと勝手に思っていたのだ。(確かに彼女は弾けない曲があると言っていた。たとえばラヴェルの左手のコンチェルトなど)。
当然第1楽章冒頭の和音はアルペジオである。
むせ返るようなロマンティシズムに溢れたこの曲、いまだにいい曲なのかどうかの判断がつかない。ただ、嫌いではない。ラフマニノフの曲を毛嫌いしていたのはとうに昔のこと。
実際のところ、友理枝ちゃんにとってもこの時代ならバルトークの方が合うのではないか、なんてことも思う。そうは言っても、上手く弾くだろうという確信はあった。ベタつかずスッキリと仕上がるのではないか、と。
その通りのラフマニノフになった。
彼女の硬質な美音が曲をキリッとさせている。甘い曲を弾かせるとおもしろい、そんなユニークなピアニストだ。夢見るようにチャーミングに仕上げた第2楽章が印象的。
もっとも情緒連綿たる世界にどっぷりと浸りたい人には受けないかもしれないが。
しかし、この難曲の大協奏曲をあの華奢な体と小さな手で破綻なく弾き切るのだからたいしたものだ。
オケもしっかり練習してきたようで、『だったん人』とは別のオケのような演奏を聴かせた。
かなり消耗したであろう後のアンコールはリャードフの可愛らしい小品。
後半はフランクの交響曲。
まったく、なんちゅうプログラムだ。
若いころは好きな曲だったのだが…。スコアを持っていたくらい。
見るのも聴くのも久しぶり。
循環形式を用いた堅固な構築性、外面的演奏効果を考慮しない思索的な響き。いかんせん楽想にしても響きにしても渋い。この時代にあってはいささか地味な感は拭えない。しかし聴けば聴くほど味の出る曲だと思う。地味なくせにイングリッシュ・ホルンが効果的に使われていたり、ハープが加えられていたり、バス・クラもあったり、編成は決して地味ではない。
フランクという人は独特の個性を持った人だと思う。
これはかなり良かった。しっかりと聴かせる演奏になっていた。第1楽章第1主題の迫力には鳥肌が立ったよ。これだけこの曲を鳴らせるとはたいしたものだ。お見事でした。
ホルンがね、ちょっと残念だったかな。ホルンはオケのキモだからね。ここが充実すると格段に上手くなるのだが。
アンコールはビゼーの『ファランドール』。元気いっぱいで好感の持てる演奏。
指揮者の木村康人氏と友理枝ちゃんの共演は少なくとも三回目になるはず。
すでに気心知れたという間柄であろう。なので友理枝ちゃんを追いかけていると何度も彼の指揮を見ることになるものと思われる。アマオケを振ることが多いのだろうか。大局的にまとめ上げるのが上手いという印象だ。
3月のときのオケはお世辞にも良かったとは言えないが、今回は一生懸命さが伝わってくるオケだった。振り甲斐があったのではないだろうか。
十分に楽しめたコンサートだった。
さて、これで友理枝ちゃんとは9月までお別れ。
彼女を追いかけていると楽しいことがたくさんある。
12月14日にはゲーテ座でのリサイタルも決まったようだ。
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