サイレンの語源はセイレーンだと言われている。
ギリシア神話に出てくる海の魔女で、美しい歌声で人々を惑わすとされている。それが後にサイレンになったのだという。
英語だとサイレンもセイレーンもどちらもSirenである。
「Silent Siren」という相反する単語を組み合わせた名前のバンドのことはずいぶん前から知っていた。
メンバー全員が雑誌の読者モデル(略して読モ)ということで、ヴィジュアル的な注目をされていたので、どうせ自分たちでろくに演奏もしていないのだろうと思い込んで無視を決め込んでいた。
読者モデルを集めてバンドさせれば売れるんじゃね、ということなのだろうと冷めた目で見ていたわけだ。
先日CDショップでシングル盤が並んでいるのを目にした。
ああまだやっていたのか、と思ってネットを見てみたら映像作品までリリースされているではないか。(写真左、2013年冬のツアー最終日の東京公演)
すでにアルバムも2枚リリースしている。(写真右、2ndアルバム『31Wonderland』)
どうやら仕掛け人がいたわけではなく、彼女たちが自主的に「バンドやろうよ」というノリで集まったらしい。みんな楽器経験者だったようだが、必死に練習したそうだ。まあそうだろう、ちょっと楽器ができるからってデビューできるものでもない。
みんな読モというモデルなわけで、爪は綺麗に塗っているが、伸ばさずにきれいに丸めている。
ああ、この子たちはガチでバンドをやっているんだな、と感じた。
サイレント・サイレン、略してサイサイ。
編成はキーボードを含む四人で、ギターがリード・ヴォーカルを兼ねる。ライヴではサポート・ギタリストが一人加わる。
たとえばギャルバンでいうと、SCANDALがパンクやガレージ・ロックを通過したロックンロール、ねごとがニューウェイヴを消化したひねくれポップ、FLiPがグランジ系のモダンへヴィネスだとするなら、サイレント・サイレンはアイドル系ポップのロック的展開だと言えるだろうか。
いずれのバンドに共通して言えるのはリズム・セクションが充実しているということである。
最近のギャルバンはロックサウンドというものをよくわかっている。
ただここまでくるとロックかどうかなんてことはよくわからなくなってくる。
それでもいいじゃないか、と思うようになってきた。
少なくとも彼女たちはモデルの片手間ではなく、真剣に音楽に取り組んでいるということはよくわかる。
映像作品を観ると、ドラマーのスネアの音がとてもいい。リズム・パターンが多いというわけではないが、堅実なドラミングで、硬くチューニングされたスネアの音が私好みなのだ。それだけで十分に見続けることができるのだが、そうしているうちにこのバンド・サウンドがすっかり耳に馴染んできてしまった。
ヴォーカルはそんなに上手くないが、まあそれも味というものだろう。J-POP界では平均的というところだろうか。ライヴでも破綻しないのでこれからもっと上手くなるかもしれない。
キーボードは盛り上げ担当でもあって、左手で拳を突き上げたりタンバリンを振ったりして、右手のみで弾いていることも多い。弾かずにステージ前面に出て観客を煽っていることも少なくない。キーボードはサウンドの核というよりは装飾的な位置付けだろう。そうかと思うときっちり両手でピアノを弾いたりもするし、昔のオルガンサウンドで味のあるプレイも聴かせる。
ベースは全編指弾き。柔らかい音色でメロディックなラインを弾く。音圧はさほど高くはないが、意外に耳に残るフレーズが多い。サウンドの核は彼女かもしれない。
読モたちのバンドということで、観客には女子が多い。読モというのは女子の憧れなのだそうだ。
同性の支持が多いということは強みになるだろう。
MCなんかもベタつかずサラッとしているので、カッコよく見えるに違いない。
確かにアイドルが楽器を持って演奏しているというふうに見える。
ただ演奏はガチである。
ちなみにCDも聴いてみたが、なかなかいい仕上がりではあるが、断然ライヴの方がいいようだ。
このあたりは生粋のバンドなんだなあと感心する。
かなり努力をしているのだろうと思うと応援したくなってくる。
まあ難しいことは言いっこなしということで。。。
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