それまで真剣に聴いたことがなかった。
そもそもテクノという音楽をあまり好まないのだ。
70年代から80年代にかけてエレクトロニクスの発展に伴ってひとつのジャンルを成したテクノ音楽。ある意味新しい音楽であったわけだが、興味を惹かれなかった。
プログレ的文脈で語られることの多いドイツのクラフトワークや世界的な成功を収めた日本のYMOにしても特別な思い入れを抱くことはできなかった。どうしても無機的な質感に馴染めなかったのだろう。
テクノというとやはりポップであり、そのあたりが同じシンセサイザーを駆使した音楽でもタンジェリン・ドリームやアシュ・ラ・テンプルやファウストといったシリアスで前衛性を追求した連中と一線を画しているのだと思う。
前置きが長くなったが、そうした嗜好から今までPerfumeを真面目に聴いたことがなかったのだ。
そしてもしPerfumeがBABYMETALの同じ事務所の先輩であり、しかも振付担当が同じで、テクノ+アイドルというノウハウがメタル+アイドルのベビメタに生かされているであろう、ということがなければPerfumeに関心を持たなかったかもしれない。さらに「なるほどPerfumeか」と意識し始めたところへ、ショップで最新の映像作品のトレイラーを見てしまったというのが決定的だった。
そういう流れなのだろうが、タイムリーというかなんというか、「絶対ベビメタからPerfumeに流れてくるヤツいるぜ」というレコード会社の策略にまんまと乗せられてしまっているような気もする。
まあいいか。
昨年の12月25日に東京ドームで開催されたライヴの映像がとても美しかったのだ。
なので、ここで一度真剣にPerfumeと向き合う必要があるのかもしれない、と思ってしまったわけだ。
ということで日曜にその映像作品をゲットした。で、2回ほど観た。2回観たということは、1回観て「もういいや」とはならなかったということである。
Perfume、女子3人のテクノ・ダンス・ユニットである。
今さら説明するまでもないか…。
このライヴ、とにかく仕掛けが凄い。近未来的なモチーフで大がかりな仕掛けがいっぱい。
これはもうライヴを観ているというより、アミューズメント・パークを疑似体験している感覚に近い。
普通のライヴと異なるのはバンドがいないということ。音源をマニピュレーターが制御しているのだろう。
声は電気的に処理がされている。ゆえにその音源に生声を重ねるいわゆる「かぶせ」というスタイルである。なのでリップシンク(いわゆる口パク)ではないが、純粋に生歌とも言えない。
歌が上手くないからとかダンスが激しいからとか、そういう理由ではなく、テクノの技法としてのやり方であるなら、全面的に賛同はできないものの、まああってもいいかくらいには思う。
観ているとほとんど気にならなくなるし、それはつまりパフォーマンスのクオリティが高いからなのだろう。
こういう音楽ばかりだと困ってしまうが、こういうのがあってもいい。
まあ、ハマり込む人がいるというのはよくわかる。
テクノという音楽性ゆえか、彼女たちは生身の女性というよりはアンドロイドやサイボーグといった趣を醸し出している。もちろんチャーミングな女性らしさを覗かせることもあるわけだが、そこに女くささは感じられない。惜しげもなく晒された脚は美しいがセクシーというのとは違っているように思う。そして彼女たちはPerfumeとして存在する自分を演じることを楽しんでいるように見える。
その首尾一貫した世界観と彼女たちのパフォーマンスにはブレがない。
当然Perfumeは彼女たち3人だけで成り立つものではなく、そこには多くのスタッフが関わっている。
極端な言い方をすれば彼女たちもPerfumeプロジェクトの一員に過ぎない。しかし、そう見えないのは彼女たちが楽しそうだからだ。おそらく彼女たちのアイデアも多く反映されているのだろう。
ベビメタについても同じことが言える。ベビメタのメンバーはPerfumeより10歳程度若い。ショウビズ界での経験がそれなりにあるとはいえ、まだ年端の行かない子どもたちである。しかしベビメタのパフォーマンスを見ていると、やらされている感は全くしない。表情豊かに歌い踊る姿は痛快ですらある。曲中のキャラを明らかに演じているのである。
そこにPerfumeやベビメタの強さがありそうだ。
というわけでPerfumeの映像作品は楽しめた。
ハマるかどうかはともかくとして、こういう音楽もあるという視点で注目していきたい。
ちなみに、Perfumeとベビメタのダンスはかなりの難度だということらしい。
確かに「歌に踊りは必要あんの?」とナナメに見ていた私が「こいつらすげえな」とすっかり楽しんでいる。
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