土曜日の昼下がりのワンコインのコンサート。
平日ならともかく、土曜日にこの値段でいいのか、と思わなくもない。
しかも、演奏者は若手ヴァイオリニストの南紫音。
いいのかなあ、500円で…。
南紫音:ヴァイオリン
大須賀恵里:ピアノ
01.モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 K.304
02.フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
03.パラディス:シシリエンヌ
04.ヴィエニアフスキ:華麗なるポロネーズ第1番 ニ長調 作品4
<アンコール>
05.グルック:メロディ(精霊の踊り)
彼女の繊細で清潔感のある音は立派な個性。
線の細さを感じるときもあるが、むしろそれさえも好ましく思える。
今回はさらに音に太い芯が一本通ったような感じを受けた。
1時間のコンサートとはいえ、なかなか聴き応えがあった。
モーツァルトのヴァイオリン・ソナタで唯一の短調の曲。
短調のモーツァルトは格別の味わいがある。
やや抑えた表現ながら、切々とした歌いっぷりが心に沁みる。
フランクは昨年の1月に紀尾井で聴いたときと比べると格段の成長の跡が感じられた。
確信を持ってヴァイオリンを鳴らしているという印象だ。
ことに第2楽章の切迫感は息を飲むほどスリリングだった。
久々に聴いて、一歩突き抜けたというふうに感じた。
いい演奏だった。
パラディスという人はモーツァルトの同時代の女性作曲家なのだそうだ。
もっともこの曲はパラディスの作品ではないという説もあるらしい。
それはそれとして、美しいメロディーが印象的な小品だ。聴いたことがあるような、無いような…。
淡々としつつもメロディーの力に委ねた演奏。
一転してヴィエニアフスキのポロネーズでは華やかな技巧を披露する。
ケレン味のないこういう演奏もいいものだ。
アンコールはグルック。
情感たっぷりに哀しみの旋律を紡いでいく。清廉な抒情性が素敵だ。
ピアノとのコンビネーションも良かったようだ。
さすがベテランだけあって、ツボを押さえたサポートぶり。
暖かな音色で、主張するところは主張し、引くところは引く好演だった。
南紫音の立ち姿はカッコいい。
大きな動きはないが、ときおり背中を大きくそらす姿は絵になる。
立ち姿の綺麗なヴァイオリニストは魅力的だ。
ここのコンサートにしては珍しく静かだったのだが、それでも後半は物音が目立った。
いただけなかったのはフランクの第2楽章が終わったところで拍手が起こったこと。まあ、こういう企画なので間違えて拍手をしてしまうのは仕方がないと思わなくもない。ただ、「ブラーヴォ」と声をかけた婦人がいたのだ。それに触発されて拍手が起こったようにも思えた。
通を気取るのはやめて欲しい。自分が恥をかくばかりでなく、迷惑なのである。声をかけたければ拍手の最中にすればよい。
それはそれとして、いいコンサートだった。
やはり500円でいいのかなあと思う。
そういえば、3枚目のアルバムの録音が始まるそうだ。
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