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2013年06月27日23:23

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グィネス・ジョーンズという歌手

昨日マイミクさんのつぶやきで、カルロス・クライバー指揮の『ばらの騎士』の録音を探しているというのを見て、そのキャストに懐かしい名前があった。
伯爵夫人を歌っているグィネス・ジョーンズというソプラノ歌手。
学生の頃、大好きな歌手だったのだ。

私がグィネス・ジョーンズという歌手を初めて知ったのは、おそらくバーンスタインがロンドン響を振ったマーラーの8番のLPでだったと思う。『千人の交響曲』というニックネームが付いたこの曲の3人のソプラノのうちの1人だった。
その声が気に入ったのだろう。
レリ・グリスト、フレデリカ・フォン・シュターデとともにお気に入りの歌手になったのだ。

ただ、追っかけていたというわけでもないし、日本でさほど人気があったとも思えず、聴いた音源自体はそんなに多くはない。
リヒャルト・シュトラウスの『サロメ』とかケルビーニの『メディア』とか、烈女とも言うべき女性を歌うのが上手いという印象だった。ことに彼女のサロメは妖艶さには欠けるもののどことなくあどけなさを感じさせるあたり、サロメ本来の姿に近いのではないかと思ったものである。
バーンスタインがDGに録音したベートーヴェンの交響曲全集で第9のソプラノを歌ったのもこの人である。彼女の声を聴きたいために、好きでもない第9の第4楽章を何度も聴いた。

しかし、何と言ってもグィネス・ジョーンズの名を轟かせたのはバイロイト音楽祭でのブリュンヒルデであろう。
ご存じワーグナーの超大作『ニーベルングの指輪』全編通してのヒロインであるブリュンヒルデ。強靭な声と三日歌い続ける体力と突出した表現力と容姿の美しさを求められる非常に困難な役柄である。
1976年から1980年にかけての5年間、ピエール・ブーレーズの指揮とパトリス・シェローの新演出とで大きな話題を呼んだ公演でもあった。
ちなみに『ニーベルングの指輪』は北欧神話を題材にしたワーグナー畢生の大作で、上演に四日かかる。
・序夜『ラインの黄金』
・第一日『ヴァルキューレ』
・第二日『ジークフリート』
・第三日『神々の黄昏』
となっていて、全部で15時間くらいかかる。プロローグの『ラインの黄金』ですら通常のオペラ並みに3時間近くかかるのだ。
ブリュンヒルデは『ヴァルキューレ』『ジークフリート』『神々の黄昏』に登場。出ずっぱりというわけではないが、最重要とも言えるタフな役柄である。
あのころは暮れになるとNHK-FMでその年のバイロイト音楽祭を一挙に放送するという暴挙を行なっていた。カセット・テープをしこたま買い込んで、録音(当時はエア・チェックと言った)をした。暮れの忙しいときにほとんどそれにかかりきりという有様だった。さらにブリュンヒルデの出る幕だけをダビングして、そこばかり何度も聴いたものである。
演奏の良し悪しなどわからない。映像がないので演出はそもそもわからない。ただブリュンヒルデの熱唱に圧倒された。その中に従来のワーグナー歌手にはない女性らしい繊細さも感じられた。
グィネス・ジョーンズという歌手が桁外れに凄いということを強烈に印象付けられたのだ。

あの当時オペラのLPなんてそうそう買えたものではない。短い『サロメ』だって2枚組だ。
そもそもオペラを音のみで鑑賞するというのは、どうもしっくり来ない。オペラは舞台を見てこそという気がする。せめて映像でもあれば、と思ったものである。

いい時代になったものだ。

で、その先述の『ニーベルングの指輪』もDVDでリイシューされた。全て揃えても2万円ちょっと。これは格安である。オペラに関しては字幕が欲しいので国内盤がいい。字幕が邪魔なら消せばいいだけのこと。
これは「買い」だろう、と私の中で悪魔が囁いている。ブリュンヒルデの出るものだけでいいかとも思うが、物語上『ラインの黄金』は重要なので、やはり外すわけにはいかない。

生きている間、この大作を通して聴く(観る)ことなど何度あるというのだろう。
などということも思う。
観たいところだけ観る、それでもいいではないか。DVDはそれが簡単にできる。
それに音楽好きを自認するなら、『ニーベルングの指輪』くらいは持っていたいような気もする。

まあ、少し悩むか…。
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