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2012年09月24日22:52

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若いころからしわがれ声

ボブ・ディランが新しいアルバムをリリースする。
老いてなお盛ん。尽きることのない創造力には頭が下がる。

ディランというと、やはり60〜70年代がいちばん好きなのだが、最近のディランもいい具合に枯れて味わい深い。今回のアルバムも楽しみである。
ディランはディラン以外の何者でもなく、誰にも真似のできない存在である。

というわけで、また最近ディランのアルバムを聴くことが多い。
で、必ず最初に聴きたくなるのが『欲望』(1976)なのだ。単純にこのアルバムが好きなのだろう。
アルバムBest3を選ぶとしたら、必ず入る。『ブロンド・オン・ブロンド』(1966)もおそらく入るが、あとの1枚は迷うだろうな。
結局3枚しか選べないのは無謀ということになるのだろうが、私の中での『欲望』はそういう位置付けなのだ。

私にとってのディランのベスト・ソング『コーヒーもう一杯』が収録されているのもポイントかもしれない。
バックの音像も生々しくリアル。まるでライヴのような臨場感。何といってもスカーレット・リヴェラという女流のヴァイオリン。これがカッコいい。ときにディランの歌よりも目立つヴァイオリンが素晴らしいのだ。彼女の神懸り的なヴァイオリン無くして、このアルバムの成功はなかったろう。路上でヴァイオリンを弾いている彼女を見て、ディランはそのままスタジオに連れて行ったというエピソードが伝わっている。
ブレイク前のエミルー・ハリスのコーラスもいい。

年がら年中ディランを聴いているというほどの熱心なファンではないので、すっかり見逃していたのだが、その当時のライヴがブートレッグ・シリーズとしてリリースされていた。
ローリング・サンダー・レヴューと題されたディラン一座の公演である。
1975年というから、武道館に来る3年近く前ということになるだろうか。『欲望』リリース前である。
ここでのディランの歌声は妙に力強い。60年代の曲もそのときとは違った説得力を持つ。
しかし、何と言っても『欲望』収録曲9曲のうち、6曲が収録されていることだろう。スタジオ版よりラフであるが、その代わり圧倒的な迫力がある。ここでもリヴェラのヴァイオリンの存在感が素晴らしい。このヴァイオリンを聴くためだけにこのCDを買ったとしても絶対に後悔しない。その中でも白眉はやはり『コーヒーもう一杯』と『サラ』だろう。

ディランを初めて聴いたのはいつだったか。
ガロの『学生街の喫茶店』がヒットして、その中で「学生でにぎやかなこの店の、片隅で聞いていたボブ・ディラン」という歌詞で初めてその名前を意識したのかもしれない。
歌に出てくるくらいだからきっとカッコいい歌を歌う人なんだろうな、と漠然と考えていた。
ひょんなことからそのディランの歌声を聴くことができたのは『グレーテスト・ヒッツ』というベスト盤だった。
そのしわがれ声に衝撃を受けた。上手くないし、全然カッコよくない、と思った。
それなのに擦り切れるくらいそのレコードを聴くことになろうとは…。

ディランの音楽には汲めども尽きぬ魅力があることを知り、気が付けばその虜になっていた。

年を取って隠居をするときが来たとしたら、ディランが歌詞に綴った言葉ひとつひとつを紐解いていきたいなどと思っている。
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