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2011年06月28日22:39

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ノリ一発のピアノ

久しぶりにジャズを聴きたくて、CDを引っ張り出してきた。
クラシックのピアノを聴き続けてきた反動かもしれない。

ハロルド・メイバーン、大好きなピアニストである。

もう70代半ばくらいだろうか。モダン・ジャズの生き証人の一人でもある。
今世紀になって録音された盤は全て彼の代表作足りえるものとなった。

メイバーンのピアノはハッキリ言って「ノリ一発で勝負」というものである。
理知的にインプロヴィゼーションを組み立てるなどということは一切ない。アーシーでジャンピーなノリで勝負をかける。
だからなのか、メイバーンが好きと言うと、たいてい意外がられるのだ。
クラシックでは理知的なピアノを弾く人を好む傾向にあるので、確かに対照的かもしれない。しかし、そこはクラシックとジャズの違いというのもあるわけだ。
考えてみれば、私が好むジャズ・ピアニストというのは、たとえばレッド・ガーランドやウィントン・ケリーやボビー・ティモンズといった「ノリのいい」ピアニストであることが多い。言い方を変えれば、とても黒っぽいのだ。さらに、曲によっては滅茶苦茶チャーミングなピアノを弾くという点も共通している。

メイバーンもまさにそんなピアニストだ。

黙って座っているとギャングの親分みたいな貫禄のある風貌なのだが、なんでこんなに、と言いたいくらいチャーミングでロマンティックなピアノを弾く。まるで夢見る少女が弾いているかのようなのだ。そうかと思えば、強いタッチでノリノリにたたみかけてくる。
最高だ。
リリカルでエキサイティング。
バラードの語り口も抜群に上手いのだ。

実際のところ、メイバーンはジャズの歴史の中を生きてきた人である。
アドリブはモードにより組み立てられていることも少なくない。ノリ一発は確かにそうなのだが、アドリブ構成を見ようとすると意外に手ごわいのだ。その懐の深さゆえ、ノリ一発でも飽きさせないのだろうと思う。

また、ジョー・ファンズワースというドラマーが上手いんだな。

最近のピアニストにはどうものめり込めないのだ。
才気が先走っているというか、そうしたところが鼻に付く。聴いているうちに醒めてきてしまうということが少なくない。若い頃なら私もそういう音楽を好んだのかもしれない。
ジャズならベテランの熟成した技を聴くのがいい。喜怒哀楽の情を全て包み込んだ大きな音楽。経験を積んだゆえの味わいというのはやはりあるものだと思う。今はそういうジャズ・ピアノに惹かれる。

何年か前に観たライヴもすごかったよ。
楽しんで弾いているなと思うのと同時に、黒人ピアニストとしての誇りを感じた。
終演後に握手をしてもらった手はグローブのように大きかった…。

そういえば、メイバーンについては昨年も書いていたっけ。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1592548737&owner_id=3696995

写真は左から『Falling In Love With Love』(2001年)、『Kiss Of Fire』(2002年)、『Fantasy』(2004年)。
これらはまだソフトな方だが、ヴィーナスレコードというレーベルのジャケットはエロいのが多いのだ。レジに持って行くのをためらってしまうようなものも少なくない。
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