mixiユーザー(id:3696995)

2010年05月30日22:34

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憂国の四士

UKのファーストアルバムの邦題である。
いいか悪いかはともかく、いい得て妙、というタイトルだと思う。
おそらくUKと憂国を引っ掛けたのだろうが、リリースされた78年という時代はロック界にとってまさしく憂国だったと言えるだろう。
パンクやニューウェイヴの台頭で、それまでのロックはオールドファッションドになってしまっていた。
プログレ冬の時代である。
キング・クリムゾンのリズム隊が中心になって結成されたこのバンドは最後のブリティッシュ・プログレだったのかもしれない。この少し後に80年代寄りのポップなサウンドでヒットしたスーパーグループ、エイジアよりもメンバー的にはスーパーだったと思う。

アラン・ホールズワース:ギター
ジョン・ウェットン:ベース、ヴォーカル
エディ・ジョブソン:ヴァイオリン、キーボード
ビル・ブラフォード:ドラムス

ウェットン&ブラフォードは言わずと知れたキング・クリムゾンの超強力リズムセクション。アナログ・シンセを操らせたら他の追随を許さないジョブソン。フュージョン界の速弾き帝王ホールズワース。
確かにこのメンツが本気になったら凄いアルバムができるだろうし、実際できた音もそれはそれは凄いものだった。
ただ、斜陽の音楽でもある。
プログレッシヴ・ロック最後の輝き。
ジャズ志向のブラフォードとホールズワース、ロック志向のウェットンとジョブソン。長く続くわけがなかったのだ。
史上最強のリズムセクションと言っても過言ではないウェットン&ブラフォードはこの時点ですでに噛み合わなくなってきている。逆にその噛み合わなさ加減がおもしろいとも言えるわけで、崩壊寸前でありながら最低限のスキームをキープするミュージシャンシップの高さはさすがだと言えよう。このベースとドラムスだけで丼飯三杯はいける。ことにブラフォードのスネアの音は絶品だ。
ギター小僧にとってはロック・イディオムとは異なるギターが新鮮だろう。
エレクトリック・ヴァイオリンの斬新さもさることながら、カラフルなキーボード・サウンドも挑戦的に響いている。
結局この後、ブラフォードとホールズワースが脱退し、ドラマーのテリー・ボジオを招いてトリオとして継続するも、長くは続かなかった。今度はウェットンとジョブソンの方向性が合わなくなってしまったのだ。UKとしての2nd『デンジャー・マネー』は高レベルではあるものの、ロック色が強くなったことで良くも悪くもカッチリまとまってしまったような印象だ。ボジオも優れたドラマーだが、いかんせん前任者が凄すぎた。ブラフォードはテクニカルなだけでなくイマジネーション豊かなドラミングのできる人なのである。達人と言われる所以でもある。

多くの音楽的要素がミクスチャーされたものがUKの1stアルバムだった。凄いメンツとしてはたった1枚しか創れなかったが、1枚でも仕上がったことを喜ぶべきだろう。
すでに時代を動かす力はなかった。しかし、その輝きは色褪せることはない。むしろ今だからこそ、その残照の輝きが美しく映える。
プログレッシヴ・ロック、そして70年代の終焉を飾る奇跡的な1枚と言えるだろう。
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