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2026年10月21日08:20

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米澤穂信『談話室米澤』(日本経済新聞出版)を読みました

米澤穂信『談話室米澤』(日本経済新聞出版)を読みました。
著者は、ミステリ作家であり、私は単発のミステリのほかにも、古典部シリーズや小市民シリーズなどを愛読しています。
本書は、デビュー25周年を記念したエッセイ集であり、本屋さんに関するエッセイは別の『米澤屋書店』に収録していますので、本屋さん関連以外、ということになります。半分近くが日本経済新聞夕刊エッセイ「プロムナード」に掲載されていたものをピックアップしています。
6章構成であり、最初の第1章の談話室がこの「プロムナード」掲載のエッセイで、キッチンの第2章では食べ物関連、第3章の半個室、第4章の電話代と続き、第5章の金庫では5項目ほど著者が調べたものの、公表はしなかったお勉強結果、とでもいうべきエッセイで、最後の第6章が地階となっています。
私が手近でよく読むエッセイは、三浦しをんと酒井順子のものが少なくないのですが、この2人は対照的なエッセイで、日常生活や友人・家族との出来事を好き勝手に書いているのが三浦しをんのエッセイである一方で、酒井順子のエッセイはきちんとテーマが設定されていて、下調べが行き届いて、ちょっとした大学のリポートくらいには使えそうなまとまったエッセイが多い、という印象を持っています。
では、本書のエッセイはどちらのカテゴリーかというと、圧倒的に酒井順子タイプのエッセイです。しっかり下調べがなされていて、特に、第5章の金庫なんかは、十分説得力あるリポートになっています。著者ご本人は学術論文ではないと謙遜していますが、キチンと参考文献リストをつければ、それなりの水準に仕上がることと期待できるほどです。
もちろん、ミステリを得意とする作家ですので、言葉の選択に感心するエッセイもたくさん収録されています。今では雑にスパゲティまでひっくるめて「パスタ」と呼称する場合が少なくありませんが、キチンと作家らしく考察を加えています。
私は不調法者でまったくお料理をしないのですが、第2章のキッチンでも博識ぶりが披露されています。その意味で圧巻なのが第5章の金庫です。「下手人」について調べた結果、細川ガラシャ夫人が辞世に詠んだ「花も花なれ」の典故、などなど、この部分だけでも詠んでおく値打ちがあると感じました。
最後に、ただし、なのですが、お料理とともに、私はほとんどゲームをしないので、ゲームにまつわるエッセイには少し理解が及ばないものがありました。それぞれの読者の得意分野・不得意分野により理解も違ってくると思いますが、いずれにせよ、作家、小説家による綿密で徹底的な下調べに裏打ちされた博識ぶり、学識、教養などが垣間見えるエッセイです。
最後の最後に、その昔、新宿とか池袋にあった談話室滝沢なんて、もう覚えている人も限られるんでしょうね。

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