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2026年10月16日07:23

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松本弥『古代エジプト人の愉快な生活』(文春新書)

松本弥『古代エジプト人の愉快な生活』(文春新書)を読みました。
著者は、日本オリエント学会正会員ということなのですが、私の理解ははかどっていません。
本書は、タイトル通り、通常は王や政府代表者などの高位高官の動向で綴られる歴史について、特にピラミッド建設の時期などの古代エジプトの庶民も含めたエジプト人の愉快な日常生活について、欧米の資料に頼ることなく、パピルスに残された象形文字のヒエログリフを読み解くことにより明らかにしようと試みています。時代としては約5000年前から3000年間の時代、ということです。
巻頭数ページに渡ってカラーで絵文字が解読されています。その後、本文に入ってからも、カラー印刷も含めて、きわめて多くの図版とそこに収録されている文字の現代日本語訳が収録されていて、確かに、実に楽しげな古代エジプト人の生活を垣間見ることが出来ます。ただ、私の想像ながら、この時代にこういった何らかの文字で時代の雰囲気を残すことができたのは、おそらくきわめて限られた上層階級の人々だけであったでしょうから、それほどご政道の批判めいたものは現れません。というか、本書では取っていないだけかもしれません。
本書の構成としては、冒頭の第1章でエジプト文字を簡単に解説した後、第2章から第7章でさまざまなシーンに応じてエジプト人の書き残したものが紹介されています。最初の方は、お仕事編であり、出勤簿から「サソリに咬まれたので休みます」といったものがあったりします。エジプト版の『鳥獣戯画』が紹介されるとともに、ペットとの暮らしについては、エジプト人のネコ好きが明らかにされていて、侵攻してきたペルシア軍がネコを前線に置いたところ、エジプト軍が総崩れになったらしいです。本書にはありませんが、ネコはエジプト発祥だったような記憶もあります。
もちろん、酒を飲んで騒いだり、恋を語ったり、といったところは本書でもハイライトとなりますので、読んでみてのお楽しみです。また、最後の方の第6章と第7章では、古代エジプト人の医学と死についてもうかがい知ることが出来ます。まじめに生死を考えている様子だけではなく、亡くなった妻に対して「もう化けて出ないで」、という懇願も含まれていたりします。
絵文字の部分は飛ばして読んでもいいですし、じっくりと取り組むのも一案ですし、いずれにせよ、タイトル通りに、肩の凝らない読書ができると思います。

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