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2026年09月05日08:24

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木村忠正『スマホは心を操る』(朝日新書)を読みました

木村忠正『スマホは心を操る』(朝日新書)を読みました。
著者は、立教大学社会学部教授であり、ご専門は科学技術社会論、メディアコミュニケーション論だそうです。本書は6章構成なのですが、前半3章では独自データに基づく数量分析が展開され、後半3章ではハードウェアのスマホというよりは、ソフトウェアのSNSや動画配信などにおける炎上や分断、あるいは、フェイクについて議論しています。
前半のデータ分析については、読んでいただくのがベストかと思います。ただ、特にポイントアプリによる「ポイ活」がかなりスマホ依存を強めているという事実は押さえておくべきかもしれません。私自身はまったくポイ活をしていない、というか、dポイントをカードで貯めているくらいなもので、スマホのポイ活については理解が及んでいませんから、その意味でも、このレビューだけでなく本書を読んでいただくしかありません。ポイ活のインパクトは本書の52ページから53ページにある図1-8を見れば明らかです。
ポイントアプリ以外でも、習慣化させるようなアプリ作りが進んでいる点が注目でしょう。また、用語の厳密性を担保するため、99ページの表3-1では、中毒(intoxication)、乱用(abuse)、依存(dependence)、嗜癖(addiction)の定義が示されています。そして、前半第3章のラストで、本書ではスマホ依存や習慣を断ち切るためではなく、スマホとの関係をどのように再設計するか、を重視していると指摘しています。
後半では最後通牒ゲームと独裁者ゲームを通じて不公平感の正体を考えることから始めて、ネット世論の中で我々の道徳心理=モラルがデジタル空間で増幅されている、と指摘しています。そういったものが炎上、分断、フェイクをもたらし、熱狂や煽りにつながる、という主張です。しかも、そういった人間心理がAIと「共演」している、という独特の用語を用いて解説されています。
AIはもちろん特定の価値観や分断の意図を持っているわけではありませんが、共感、強調、互恵、怒り、嫌悪、排他などの感情のうちで、どういったものが行動を引き出しやすいかを判断する、というわけです。特に、ネット世論を動かす4つの道徳心理が217ページの表5-1に上げられています。その上で、最終第6章274ページからネット世論について報道や分析をする際の提案がなされています。これも読んでいただくしかありません。
最後に、私自身はほとんどスマホを扱いません。ですので、70歳になって今のお仕事を辞めたらスマホは手放そうと考えています。ただ、これには裏事情があり、SNSや動画はそれほど見ないとしても、スマホではなくタブレットのメールやブラウザといったアプリを使っている、という点はあります。
繰返しになりますが、ハードウェアとしてのスマホとのおつきあいなのか、それとも、ソフトウェアのSNSや動画配信などの問題か、このあたりの見極めは本書でも十分ではありません。
最後の最後に、文部科学省による「全国学力テスト」のひとつの結果として、スマホなどでSNSや動画に費やす時間が多いほど小中学生の成績がよろしくない、といのがあリました。小中学生だけでなく、私は大人でもご同様であるかもしれないと考えています。すなわち、スマホなどでSNSや動画に多くの時間を費やしている人は知性や知能の面でどうなのでしょうか?

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