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2026年08月26日07:24

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秋吉理香子『月夜行路 Returns』(講談社)を読みました

秋吉理香子『月夜行路 Returns』(講談社)を読みました。
著者は、ミステリ小説家であり、基本的に、私はイヤミス作家と見なしていたのですが、本書の前作となる『月夜行路』とともに、本書もイヤミスではありません。当然ながら、私は前作の『月夜行路』も読んでいます。
前作では夫の浮気を疑って銀座にあるミックスバー「マーキームーン」に入った主人公の辻沢涼子が、バーのママである野宮ルナと大阪に行って、いろいろと文学の知識を活かした謎解きを繰り広げていました。主人公の辻沢涼子は40代半ば、かつてはオリンピック選手候補にまでなった経験ある元バレーボール選手で現在は専業主婦です。
前置きはこれくらいにして、前作の舞台は大阪でしたが、続編の本書の舞台は東京です。しかも、序章のタイトルが「吾輩は猫である」となっていることから理解できるように、東京の中でもほぼほぼ夏目漱石に関係するお話ばっかり、と考えてよさそうです。序章では、野宮ルナの父親のものであると後に判明する古いパソコンが持ち込まれるところからお話が始まります。ファイルを開く6ケタ以上の数字を探すミステリ短編3話と短い最終話を収録しています。
まず、「桜の森の満開の下」では、夏目漱石の『吾輩は猫である』の初版復刻本を求めて、辻沢涼子が野宮ルナとともに下北沢の古書店を訪れると、店主が血を流して倒れていました。続いて、「こころ」では、マーキームーンのかつての常連で、当然、野宮ルナと親しくて夏目漱石の熱烈な読者だった高齢女性が亡くなり、辻沢涼子が野宮ルナとともに早稲田にある夏目漱石生誕の地の石碑近くに弔問に訪れたところ、死の直前半年ほどで再婚した前夫と3人の子どもたちとで遺産相続の骨肉の争いを繰り広げていました。
続いて、「舞姫」では、日本人男性とドイツ人女性のシュナイダー東大教授夫妻と中学生の男の子の家を辻沢涼子が野宮ルナとともに、『吾輩は猫である』の縮刷版を借りるために訪れると、家政婦に出迎えられます。でも、近くで公園の爆破予告があったり、シュナイダー家でも子どものカナタ=ハンスが問題行動を繰り返していました。
最終話の短い「吾輩は吾輩である」では、これまた当然に、パスワードを解明してファイルを開きます。ファイルは文書=ドキュメントなのですが、中身は読んでみてのお楽しみとしておきます。
3話の短編の中かでは、たぶん私と同じように、「こころ」がいいと感じる読者が多そうな気がします。まあ、何と申しましょうかで、浜田廣介の有名な童話『泣いた赤鬼』の世界です。

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