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2026年08月20日07:30

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依田高典『ノーベル賞で語る 現代経済学』(中公新書)を読みました

依田高典『ノーベル賞で語る 現代経済学』(中公新書)を読みました。
著者は、我が母校の京都大学経済学部の教授です。ご専門は応用経済学だそうです。
本書では、1968年から始まったノーベル経済学賞、スウェーデン国立銀行が創立300周年祝賀の一環としてノーベル財団に働きかけたことで設立され、正式には「ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞」ということらしく、本書にはありませんが、私の記憶する限りで、賞金はノーベル財団ではなくスウェーデン国立銀行から拠出されています。
そのノーベル経済学賞の受賞者について、かなり系統的に分類して戦後約80年の経済学史を後づけています。ただ、同じ京都大学経済学部教授の根井雅弘教授が10年ほど前に『ノーベル経済学賞』という本を講談社から出しています。根井教授はたぶん経済学史のご専門だったと記憶していますが、まあ、10年経ったのですから、リニューアルさせた、という感じかもしれません。
本書冒頭の序章では、1968年に賞が創設される前のエコノミスト、当然、スミスに始まって、リカード、マルクス、ワルラスからケインズまでの5人を振り返り、その後、賞の創設後にミクロ経済学的な一般均衡論やマクロ経済学の分野での計量経済学などの基礎理論への授賞について解説されます。そして、1970年代の石油危機やそれに伴うインフレに際して、ケインズ経済学の有効性に疑問が生じ、そのあたりから新自由主義的な色彩の強いシカゴ学派が台頭する流れが後づけられています。
今でも、私はすでに時代遅れだと感じていますが、ノーベル賞の分野ではシカゴ学派の新自由主義的な経済学が幅を利かせているような気がします。もちろん、ルイス卿やセン教授といった開発経済学の分野、あるいは、貧困や不平等の経済学も注目されますし、映画化されてヒットしたナッシュ教授によるゲーム理論、あるいは、カーネマン教授らの経済心理学から発展して来たセイラー教授の行動経済学、などなど、決して最新理論とはいえませんが、さまざまな経済学を概観しています。
最近、ということになると、ゴルディン教授のジェンダー経済学、アセモグル教授らの新制度学派による経済発展論などが注目だろうという気がします。ただ、ノーベル賞ですので、いわゆるマルクス主義経済学は大きく劣勢であり、ほぼほぼ純粋なマルクス主義経済学に基づくエコノミストへの授賞はありません。
最終章で、ノーベル経済学賞は受賞しなかったものの、学界に大きな足跡を残した経済成長論のハロッド教授と日本の森嶋通夫教授が「ノーベル経済学賞の忘れもの」として取り上げられています。

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