石持浅海『花嫁と殺し屋』(文春文庫)を読みました。
著者は、ミステリ作家です。
本書は、「殺し屋」シリーズ第5弾であり、前4作は、『殺し屋、やってます。』と『殺し屋、続けてます。』と『男と女、そして殺し屋』と『夏休みの殺し屋』になります。たぶん、私はシリーズすべて読んでいます。少なくとも第3作と第4作は読書感想文ブログに残っています。
このシリーズでは、殺し屋が殺人を実行しますので、その殺人事件が謎解きの対象となるわけではありません。そうではなく、どうしてそのような殺人依頼が舞い込んできたのか、動機の解明と、もしもあれば、期日や殺害方法の指定などのオプションが、どうして必要か、などなどを推理します。少し趣向の違う安楽椅子探偵であり、謎の確実な解明はなされません。
殺し屋は男女2人いて、経営コンサルタントとして表の顔で働く富澤允、そして、インターネット通信販売業を偽装する鴻池知栄です。なお、諸物価高騰、かつ、サラリーマンのお給料もアップした折ですし、富澤は料金を引き上げましたが、鴻池は据え置いています。本書では短編5話が収録されていて、第1話と第3話では富澤が、第2話と第4話では鴻池が登場し、第5話では両方とも出てきます。
あらすじは簡単に、まず、「一礼」では、通勤途中に他人の家に一礼する男の殺害依頼が富澤に舞い込みます。その通勤途上の一礼というターゲットの奇妙な行動が、そのまま謎になります。続いて、「生きていたら」では、ターゲットが7月10日を過ぎても生きていたら殺人を実行して欲しいという依頼が鴻池に来ます。続いて、「宴の後」では、異業種交流セミナーで知り合った4人のうちの1人が殺され、その死を弔う飲み会が開かれたりしますが、残った3人のうちの1人の殺害依頼がきます。続いて、「後から後から」では、なぜか、次々と殺人のオプションが追加されます。最後に、表題作の「花嫁と殺し屋」では、婚約中の男女2人両方に対する殺害依頼が富澤と鴻池のそれぞれに舞い込みます。
最後に、2人の殺し屋が交差する「花嫁と殺し屋」は、まあ、何と申しましょうかで、同様に、前作で2人とも登場する「夏休みの殺し屋」の方がずっとよかったと私は思います。表題作にしては低調だと感じるのは私だけでしょうか。
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