本ではなく学術論文ですが、全米経済研究所(NBER)から米国カリフォルニア州で億万長者の資産へ課税するとどうなるか、に関する頭の体操めいた試算結果を示す "California Billionaires: Wealth, Taxes, and Wealth Tax Revenue Estimates" と題するワーキングペーパーが明らかにされています。
まず、前提となる予備知識として、JETROのサイトにある情報によれば、米国カリフォルニア州の2024年名目GDPは「4兆1,000億ドルに達し、日本のGDPをドルに換算した4兆200億ドルを上回った」そうです。名目GDPで見て、米国カリフォルニア州は「米国、中国、ドイツに次ぐ世界4位の経済規模」となっています。ついでに、ファーストオーサーのBoll教授は Paris School of Economicsのご勤務ですから、おそらく、ピケティ教授と何らかのつながりがあることと想像しています。サエズ教授とズックマン教授とは、以前、ピケティ教授との共同研究成果をいくつか発表しています。ですから、おそらく、執筆者3人とも格差や不平等の問題についてはリベラルな見方をしているものと考えてよさそうです。
論文では、p.34 にある CA Top .0002%wealth vs. GDP per family を見れば、米国カリフォルニア州の億万長者、すなわち、上位0.0002%の富裕層の資産は、2025年固定価格の実質額で見て1982年から2025年にかけて約30倍に増加していることが読み取れます。2025年固定価格による実質値で見て、1982年から2025年にかけて、カリフォルニア州の1世帯あたりのGDPは年率+1.5%で成長したのに対し、上位0.0002%の富裕層の資産は年率8.2%で伸びています。はい、資産格差が大きく拡大していることが理解できると思います。
上位0.0002%の富裕層の資産とその中でもトップ4家計、すなわち、GoogleのLarry PageとSergei Brin、また、METAのMark Zuckerbergほかのトップ4家族の資産をプロットした Wealth of CA billionaires ($ billion, end of year) が論文 p.32 で示されています。わずかトップ4家計が億万長者の1/3くらいを占めているのが見て取れます。加えて、着目すべきは、この億万長者の資産に5%の税金をかけると about $100 billion 約1000億ドルの税収が得られると試算している点です。1ドル160円で換算すると大雑把に16兆円の税収であり、2026年度の我が国政府の当初予算に関する情報を収録したパンフレット「日本の財政関係資料」によれば、今年度の我が国の所得税収は約25兆円、法人税収は約21兆円、消費税収は約27兆円となっていますから、米国カリフォルニア州は日本より経済規模が大きいとはいえ、かなり多額の税収が見込めます。しかも、p.32 のグラフを見て、5%の税金をかけても億万長者の資産には大きな影響を与えているように見えないのは、私だけではないと思います。したがって、富裕層課税を強化すべき、と考えるのも、私だけではないと思います。
Yes, Tax the Rich!
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