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2026年05月31日07:38

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バリー・アイケングリーン『世界大恐慌とリーマンショック』(勁草書房)を読みました

バリー・アイケングリーン『世界大恐慌とリーマンショック』(勁草書房)を読みました。
著者は、米国カリフォルニア大学の旗艦校であるバークレイ校の経済学特別教授・政治学教授です。経済史学会会長の経験もあり、ご専門は経済史だと思います。
本書の英語の原題は Hall of Mirrors であり、2015年の出版です。原書の出版から10年余りを経過していますが、決して賞味期限は切れていないと私は感じました。参考文献リストや注などを含めると、軽く500ページを超える力作です。
邦訳タイトル通り、1929-33年の大恐慌と2008-09年のリーマンショック、さらに、いくつかの金融危機を経済史の観点から統計データを用いつつ解き明かそうと試みています。さすがに、世界大恐慌ではなく、リーマンショックについて焦点を当てて私は読みました。
リーマンショックの政策的失敗の最大の原因のひとつは、いわゆるノンバンクに対する行政権限が財務省にも連邦準備制度にも、どちらにもなかった点を上げています。もちろん、政策当局がモラルハザードを懸念してリーマン・ブラザーズの救済に躊躇した、というのも原因のひとつです。それでも、約100年前の世界大恐慌とリーマンショックやその後の金融危機の大きな違いは、政策当局により最悪の事態を回避した点にある、と評価しています。
リーマンショックもひどかったという見方はあるにせよ、統計データから見て、世界大恐慌ほどの事態が回避できたことは疑うべくもありません。もちろん、それでも大きなショックだったし、さらに回避可能な部分があり得る点は私も理解していますし、本書でも、p.229以下で政策対応について議論しています。特に、欧州についてはギリシアの財政危機の発生など、危機脱却後の緊縮財政への転換が早すぎた点を上げています。
本書のスコープ外ながら、日本でも、2014年の消費税率引上げがアベノミクスのデフレ脱却の成功を阻害した可能性があるのと同様かもしれません。いずれにせよ、そのあたりの詳細は読んでいただくしかありません。
加えて、英国の当時のエリザベス女王のように、なぜ予測できなかったのか、という疑問はありえます。その点について、本書ではそれほど深く掘り下げてはいませんが、歴史学に基づく議論が必要、というよりは経済学の科学としての限界なのだろうと私は考えています。
最後に、戦前日本の金融恐慌からの脱却については、第17章で「高橋是清のリベンジ」と題して歴史の観点から分析されています。

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