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2026年05月29日08:16

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ダーシーニ・デイヴィッド『グリーンエコノミー』(かんき出版)を読みました

ダーシーニ・デイヴィッド『グリーンエコノミー』(かんき出版)を読みました。
著者は、エコノミスト・キャスターで、現在はBBCニュースのチーフエコノミスト・コレスポンデンスだそうです。チーフエコノミストは何人も知り合いがいるのですが、「コレスポンデンス」がつく役職は初めてでした。
本書の英語の原題は Environomics であり、2024年の出版です。ですので、ドバイのCOP28がlatestのCOPということになります。
本書では、冒頭に明記しているように、生活のひとつひとつから環境問題を考え直すことを目的としています。私がよく大学の授業でいうように、個人レベルで解決しようとする試みと社会や国家のレベルで解決すべき問題という分類をすれば、本書が志向しているのは前者に相当するのであろうと考えます。
もちろん、その前提として、二酸化炭素排出がどれくらいに上っており、それだけでなく、本書では水資源ほかにも幅広く目配りしていて、現状の地球環境問題を概観できるようになっています。ただし、本書ではサステイナビリティ向上のための国民生活に対するハウツー本ではありません。むしろ、朝起きて灯りをつけてコーヒーを飲み、着る服を選ぶ段階から、日々の生活実践を追って、それらがどのように地球環境に負荷をかけ、カーボン・フットプリントに影響を及ぼしているかを明らかにしています。
加えて、いわゆる「なんちゃってグリーン」のようなグリーンウォッシュ、あるいは、原子力が電力の供給源として決して適当ではない理由なども考え合わせ、地球環境を守る上で国民生活の方向性について議論を深めようと試みています。
本書が特にターゲットとしている二酸化炭素排出については、英国や欧州だけでなく日本でも、家庭からの直接の二酸化炭素排出は15-20%を占めるに過ぎませんが、電力消費などの間接的なものを含めると家庭は産業を大きく上回って60%ほどに達します。そのため、「デコ活」といった言葉もありますし、国民生活を見直す観点は絶対に必要です。
その際、私から2点指摘しておきたいと思います。第1に、今までは省エネとかで、電気代の負担が減少しつつ地球環境への負荷が軽減される、というwin-winの関係が強調されてきましたが、これからは、個人レベルでは生活の利便性が低下しても、企業レベルでは売上げが減少したり、利益が上がらなかったりしても、そういったコストを負担しつつ、地球環境の負荷軽減を進める覚悟があるか、ということです。本書ではそこまで強調しているわけではありませんが、国民生活のゆたかさが一定犠牲になっても地球環境の負荷軽減を進める必要が示唆されていると私は感じています。
第2に、地球環境の負荷を軽減する上で、市場における価格に従った資源配分は決定的に失敗している、という点です。ですから、市場における価格付けを補完するような資源配分方法をアカデミアもしくは政府は考える必要があります。少なくとも、炭素税のようにうまく市場に組み込むことを志向すべき、と私は考えています。そうでなく、市場の資源配分を絶対視するような市場原理主義では、最悪、地球における人類の文明が滅亡するおそれすらあります。

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