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2026年05月02日08:38

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山田祐樹『変な心理学』(ちくま新書)を読みました

山田祐樹『変な心理学』(ちくま新書)を読みました。
著者は、九州大学基幹教育院准教授で、ご専門は心理学のようです。
本書のタイトルについては、アカデミック心理学ならざる大衆心理学のことを指しているようです。要するに、医療における民間療法のようなものだと考えればいいかもしれません。
第1章では、行動心理学なんてものはアカデミック心理学には存在しないと主張し、第2章以下でその「民間療法」的なアカデミックならざる大衆心理学を取り上げています。第2章ではカラーバス効果、第3章ではウィンザー効果、第4章では逆カラーバス効果、というか、その典型のサブリミナル効果、第5章では蛙化現象、そして、第6章は本書の結論部分であり、このような大衆心理学がバズっている原因について考えています。
私はカラーバス効果は知らなかったのですが、色を浴びるという意味で、何らかのキーを指定して街を歩けば、自動的にアイデアが得られる、ということのようです。半分くらいは確証バイアスではないか、と思って読んでいたら、最終第6章p.256でそう出ていました。
いずれにせよ、各章で取り上げている心理学的な装いをまとった効果や現象はアカデミックな心理学では研究されておらず、大衆心理学である、と指摘しています。性格診断や自己啓発本などでいっぱい見られるようですが、私はそういった本はそれほど読まないので、蛙化現象のほかはバズっている気がしませんでした。
私の専門分野である経済や経済学に引きつけて考えると、典型的な大衆経済学で、為替相場を円高にすれば物価を沈静化することができる、というのがあります。詳細は展開しませんが、私はこの円高による物価抑制というのはかなり怪しくて、専門用語ですが、為替のパススルーはそれほど大きくない、と考えています。おそらく、エコノミストの間で緩やかなコンセンサスがあるのではないか、と思います。
そして、経済学の隣接領域である経営学に関しては、特に、投資行動については、もっといっぱい「民間療法」的な経営学、特に、投資行動に対する示唆がありそうな気がします。例えば、株価チャートでこういった形が現れれば、株価が上昇する、あるいは、下落する前兆である、といったものです。
最後に、本書における著者のご指摘はすべて正しいものと思いますし、とても面白い本だったのですが、批判をひとくさり指摘しておきたいと思います。とっても「上から目線」の本です。本書の中では何度か否定していますが、あくまでアカデミック心理学が上で、大衆心理学が下、という意識が丸見えです。
ですから、本書のタイトルをそのまま借用して「変な心理学」あるいは大衆心理学のうちで、アカデミック心理学でも支持されているようなものは、まったく無視されています。もちろん、専門外の私には知りようがないところで、まったく存在すらしないのかもしれません。でも、例えば、地球物理学だか宇宙物理学だか、「夕焼けは明日晴れる」というのはたぶんアカデミックにも支持されている民間伝承だと思うのですが、そういった大衆心理学であるものの、アカデミックにも支持される、といったものは完全無視されています。
そして、査読論文でないとアカデミックな支持を得る根拠にならないかのような「上から目線」記述も満載です。特に、蛙化現象の発端が学会のパネル発表だったとかで、軽んじている姿勢は鮮明です。私はそれほどでもありませんが、学会のパネル発表は大学院生に勧める先生も少なくなく、ご著者が研究者として優秀でも、教育者としてどうなのか、という疑問は感じました。
まあ、学問分野や地域によっては、これくらい「エラそう」にする方が効果があるのかもしれません。

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