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2026年03月29日07:50

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藤崎翔『冥土レンタルサービス』(祥伝社文庫)を読みました

藤崎翔『冥土レンタルサービス』(祥伝社文庫)を読みました。
著者は、もう芸人さんではなく、著名な、というか、何というか、エンタメ小説家といえます。そのうちに直木賞を受賞する可能性が十分あると私は想像しています。
本書も、コミカルかつシリアスなエンタメ小説であり、長編ではないとしても、緩やかに関連した連作短編集といえます。9章から成り、人間8人と猫1匹の死後の世界について冥土レンタルサービス利用の視点から構成しています。
タイトルの冥土レンタルサービストとは、初めの方のいくつかの短編に詳しく説明があるのですが、一応、人間と仮定して、死亡した直後、正確には49日間の間に、死後の世界、すなわち冥土でレンタル生物を借りて生前の世界のゆかりのある人の近くに一時的に生まれ変わり、死後の世界を見て来たりすることができる、というサービスです。通常は80代や90代の高齢者が死ぬというケースが多いのでしょうが、まあ、それでは小説として深みに欠けますので、50代や60代の場合もありますし、もっと若い死者もあります。
ただ、生前に積んだ徳に従ったポイントが死後に付与されており、そのポイントを使って生物をレンタルする、というシステムであり、虫、特にゴキブリや蝿や蚊といった害虫はそれほど必要なポイントが多くない一方で、虫の中でも蝶などはより多くのポイントを必要とし、さらに、爬虫類や鳥類になるともっと多く、哺乳類、哺乳類の中でも人間にペットとして飼われているような犬や猫はさらに多くのポイントを必要とします。
生前の世界を見た後は天国に行く、ということになるらしいですが、もちろん、死者全員が天国に行けるわけではなく、冥土に来ることなく地獄に落ちる人もいるようです。ということで、特殊かつあり得ないファンタジックなサービスですので説明が長くなりましたが、このサービスを使って、あの世から自分の死後のこの世に舞い戻ってくるお話です。
警官として世間から一定の尊敬を集めていた人物の実像を明らかにする、といったこの著者の初期の作品である『神様の裏の顔』的なコミカルな短編もあれば、涙を誘わずにはいられない実にシリアスで感動的なお話まで、この作者らしい綿密な構成です。その綿密さは、死者がQRコードになるか、バーコードになるかで死んだ時点を暗示的に示す、という細かな芸当まであったりします。
繰返しになりますが、私は、高市総理大臣のように某国の某大統領をノーベル平和賞に推薦するよりは、この作者を直木賞に推薦する方が、よっぽど世のため人のためになると考えます。この作者の作品は、私の場合、『オリエンド鈍行殺人事件』と『お梅は魔法少女ごと呪いたい』を図書館の予約で順番を待っているところです。実に楽しみです。

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