mixiユーザー(id:68108846)

2026年03月27日07:46

46 view

五十嵐律人『魔女の原罪』(文春文庫)を読みました

五十嵐律人『魔女の原罪』(文春文庫)を読みました。
著者は、弁護士の資格を持ち、『法廷遊戯』で第62回メフィスト賞を受賞しデビューしています。リーガル・ミステリを得意とするミステリ作家です。ただし、私には初読の作家さんでした。
本書は2部構成であり、第1部の主人公は和泉宏哉、鏡沢高校の2年1組で、文芸部に所属し、週3回の人工透析を受けています。両親は腎臓内科医の父と医療技師の母です。水瀬杏梨はクラスも部活も同じクラスメートで、しかも、同じように週3回の人工透析を受けています。第2部では鏡沢高校の2年1組担任で元弁護士の佐瀬友則が主人公となってストーリーが進みます。
まず、鏡沢高校は校則が一切なく、もちろん、服装や髪型も自由で、法律に触れない限り何でも許される自由な高校です。逆に、高校だけではなく、地域としても法律が絶対視されています。鏡沢ニュータウンは約40年前に開発され、早くから住んでいる住民は「カツテ」と呼ばれて、新転入者と少し断層があったりします。
その鏡沢高校で窃盗事件があり、犯人の柴田達哉がいじめにあいますが、ギリギリで法律には抵触しないという判断で見過ごされます。和泉宏哉は強い違和感を持ち、窃盗事件の背後関係などを調べますが、柴田達哉は自主的に退学してしまいます。そして、第1章の最後に、水瀬杏梨が血を抜かれた死体となって鏡沢高校の裏手にあるセキレイ峠で発見されます。この殺人事件の謎を鏡沢高校教員の佐瀬友則が真相解明に挑むわけです。あらすじはここまでとします。
犯人はかなり早い段階で警察に逮捕されて、whodunnitは解明すべき大きな課題とならず、whydunnitの動機の解明が中心となります。しかしながら、何と申しましょうかで、この動機は私の感覚にはそれほどあいませんでした。謎解きや何やは決してオカルトではないのですが、犯罪の動機や実行などがかなりオカルト的です。21世紀の先進国日本で、いまだにこのような考えをしている人が、高校やニュータウンに一定数かたまって存在しているとは、私にはにわかには信じられませんでした。これをもって、人類共通、あるいは、日本社会の原罪といわれると、やや疑問に感じる読者もいそうな気がします。はい、この小説の中だけにあるきわめて特殊な例だと私も思います。

1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する