mixiユーザー(id:68108846)

2026年03月18日08:04

50 view

溝尾良隆『日本と世界の観光史』(古今書院)を読みました。

溝尾良隆『日本と世界の観光史』(古今書院)を読みました。
著者は、立教大学観光学部の教授を長らく務め、現在は名誉教授です。
本誌は、冒頭にも明記されているように、観光史であって旅行史を目指しているわけではないようなのですが、まあ、近代以前については旅行史の部分も少なからずあります。4部構成となっていて、第�吃瑤�近代以前、すなわち、古典古代の飛鳥時代から江戸末期まで、第�局瑤�江戸末期から昭和戦中期まで、第�敬瑤�戦後から現在までの、それぞれの日本の観光史を後づけており、最後の第�孤瑤農こΔ隆儻�史を一気に概観しています。基本的にはタイトル通りに歴史的視点が中心なのですが、もちろん、観光とは旅行を含んでいて、移動の要素もありますので地理的な視点も含まれています。
観光ではなく旅行かもしれませんが、海外との交流という視点では、日本はつい最近の50年程度に至るまで、ほぼほぼ歴史的に一貫して後進国でしたから、古典古代の時期には遣隋使や遣唐使で中国からの技術や文明やの移入に努め、中世の時期は倭寇で海賊行為をしたり、宋銭を通貨として用いたり、近代に至ってもお雇い外国人を招聘するとともに、多くの若者を海外留学に送り出したりしています。
観光にお話を絞ると、近代以前は経済的な余剰生産力がそれほどなかったことから、観光は寺社への宗教的な参詣や温泉場への湯治旅行が主流となります。江戸期には、松尾芭蕉の欧州への旅行、『東海道中膝栗毛』に収録された観光旅行なども登場し、庶民階層にも観光旅行が広がります。特に、本書でも伊勢参りに注目しています。
明治期から大正・昭和の時期にかけて、まず、東京が首都となり、東海道を中心に交通網が整理され、観光の下地が出来上がります。私の住む琵琶湖南岸は、まさに、新しい首都の東京と古都京都を結ぶ東海道の通り道であり、現在では鉄道の東海道線と東海道新幹線、道路では国道1号線と名神高速道路などがよく整備されています。
本書でもこういった交通網の整備とともに観光旅行が盛んとなり、戦前期には海水浴やスキー・ゴルフといったレジャーを目的とする観光、さらに、戦後になればさらにレジャーの領域が広がり、特に戦後高度成長期から1970年代までの間の大きなイベント、すなわち、1964年の東京オリンピックと1970年の大阪万博の果たした役割が強調されています。私も、それほど裕福でない家庭でしたので、東京オリンピックはムリでしたが、大阪万博にはいった記憶があります。
その後、石油危機に伴う景気低迷などで観光需要は盛上がりを欠きましたが、他方で、1980年代からは海外旅行も庶民の間で広がり始めたと指摘しています。そういった詳細と最終の第�孤瑤寮こΔ隆儻�史については、読んでみてのお楽しみです。

2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する