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2026年03月04日08:10

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阿津川辰海『ルーカスのいうとおり』(幻冬舎)を読みました。

阿津川辰海『ルーカスのいうとおり』(幻冬舎)を読みました。
著者は、ミステリ作家であり、私はアンソロジーに収録された短編作品はいくつか読んだ記憶がありますが、長編作品は初読だと思います。
本書は、一言でいえば、ホラーミステリといえます。近代物理学に反するかのような現象を基にする特殊設定ミステリです。割と最近では、例えば、私も方丈貴恵のタイムトラベルしてパラドックスを引き起こすミステリとか、時空の割れ目から姿形を変えられる怪物が出現するミステリとか、いくつか読んでいます。方丈貴恵以外にもあるかと思います。
本書の主人公は、小学5年生の沢城タケシです。出版社の編集者だった母親は2年前に交通事故で亡くなり、市役所勤務の父親と暮らしています。同じ小学校のクラスのシゲ、ビャク、カンタの3人からイジメにあっています。転校生の森くんと仲良くなるのですが、森くんの父親は心霊探偵として事件解決に当たっており、森くんの父親は霊感がないものの、同級生の森くんは霊感があって「視える」体質だったりします。
亡くなった母親が編集を担当した絵本の出版記念で、わずかに100個だけ限定配布されたぬいぐるみが、表紙画像に見えるどろぼうルーカスです。そのルーカスのぬいぐるみ、わずか30センチほどの小さなぬいぐるみがタケシを守護するかのように振る舞う、殺人事件まで起こってしまう、というミステリです。
タケシが「死ねばいいのに」とか、「いなくなればいいのに」といった趣旨の発言をすると、まるでルーカスが聞き届けて実行するかのように、近隣に住んで迷惑行為を繰り返す隣人が2階から転落したり、イジメを繰り返すクラスメートに怪我を負わせたりした上に、段々とエスカレートして、イジメを見て見ぬふりをする小学校の単に教師が刺殺されたり、父親が再婚を予定している市役所の同僚の女性がタケシの家で襲われたりするわけです。
霊感がある森くんによれば、ルーカスには何かが取り憑いているといいますし、果たして、ぬいぐるみのルーカスがタケシを守るためにやっているのか、もしそうだとすれば、誰の怨念が取り憑いているのか、あるいは、ぬいぐるみが動くはずもなく、近代物理学で説明のつくミステリなのか、第1部で展開されたこういった事実関係に対して、第2部から警察も交え、第3部では解決に至ります。当然です。ミステリですから、あらすじはこれくらいにします。
1点だけ、藤崎翔によるお梅のシリーズと違って、少なくともルーカスは自分の意志ではなく、動いているとしても、誰かの怨念で、あるいは、別の何かの物理力で動いています。これは大きな違いです。ただ、お梅と同じで30センチほどのぬいぐるみという物理的な存在としての限界はあります。

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