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2026年02月26日12:52

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高橋和志・樋裕城・牧野百恵[編]『『実証から学ぶ開発経済学』(有斐閣ブックス)を読みました。

高橋和志・樋裕城・牧野百恵[編]『『実証から学ぶ開発経済学』(有斐閣ブックス)を読みました。
編者は、順に、政策研究大学院大学教授、上智大学経済学部准教授、アジア経済研究所主任調査研究員となります。
本書は4部構成であり、農村開発、人的資本、産業振興、政治経済的アプローチ、の各部で構成されています。少しわかりにくいのが最後の政治経済的アプローチなのですが、ノーベル賞を受賞したアセモグル教授のような制度論、あるいは、汚職などが取り上げられています。
冒頭のはしがきで明記されているように、本書は同じ出版社によるジェトロ・アジア経済研究所[編]『テキストブック 開発経済学』の後継書という位置づけになっています。私はその『テキストブック 開発経済学』は読んでいて、もしも、私が開発経済学を大学で教えることになれば教科書として使おうというくらい、とってもいいテキストだったのですが、本書はかなり違う趣きではないかと思います。というのは、一言でマクロとミクロの違いです。単に、私には合わない、というだけです。
『テキストブック 開発経済学』は、割合と早いページでハリス-トダロ・モデルによるマクロ経済の開発や成長を解説しているのに対して、本書は延々と分野別のマイクロな経済開発のための案件選択を実証的に、半分くらいはランダム化比較試験(RCT)による開発案件選択の問題を取り上げて論じています。ですので、実証分析の宿命ではありますが、分析が部分均衡的であり一般均衡やマクロ経済の動向から乖離する可能性があります。
しかも、多くのチャプターは実証分析をていねいに説明している一方で、実証研究論文を参考文献に示すだけで、いわば丸投げしているチャプターも散見されます。学生の出来のよくない論文で、ChatGPTなどの生成AIに参考文献をリストアップしてもらって、アブストだけを読んで勝負しているのがありますが、そういった雰囲気を漂わせているチャプターもあったりします。
さすがに、第�局瑤凌妖�資本と第�敬瑤了唆罰�発はいい出来だと思う一方で、私なんかが考える開発経済学のひとつの考えは、日本の発展モデルなのですが、そういった視点はまったく見られません。
本書でも言及されているメキシコ就学助成金プログラム=PROGRESAなんかは、世界的に見ても最近の特筆すべき成功例で実証分析結果もいっぱい出ているのですが、例えば、日本の高度成長期前の1950年には50%に満たなかった高校進学率が1955-75年の20年間で大きく上昇して、現在と同じほぼほぼ100%に達しています。こういった日本の歴史的な実例は本書にはありません。
例えば、私がまだ公務員をしていたころに同僚と取りまとめた "Japan's High-Growth Postwar Period: The Role of Economic Plans" はそういった経済開発の上で個別の案件選択というよりも、政策的なガイドラインの提示が果たした役割を強調しています。
個別の開発プロジェクトの案件採択に関する実証研究ももちろん重要ですし、私はほぼほぼ本書のコラムにあるようなフィールドワークをしたことがないので、そういった地に足ついた現地活動も必要なのでしょうが、アジアの多くの国は制度的にも政策的にも、かなり日本の高度成長期の経験を参考にしているところがあります。
開発経済を専門にする日本のエコノミストなのですから、高度成長期の経済発展の経験を参考にするのも一案ではないかと思います。
最後に、もう一度繰り返すと、マクロエコノミストである私には合わない、というだけで、マイクロな案件選択に関してはいい実証研究成果を集めていると思います。

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