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2026年02月10日08:21

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トマ・ピケティ『エコロジー社会主義に向けて』(みすず書房)を読みました。

トマ・ピケティ『エコロジー社会主義に向けて』(みすず書房)を読みました。
著者は、2013年の『21世紀の資本』がベストセラーになったフランスのエコノミストであり、パリ経済学校経済学教授・社会科学高等研究院経済学教授です。
本書のフランス語の原題は Vers le Socialisme Écologique であり、2024年の出版です。書下ろしの論考とともに、フランスの夕刊紙 Le Monde に掲載されたコラムを収録しています。
冒頭で、「20世紀は社会民主主義の世紀であった。21世紀は民主的かつ参加型のエコロジー社会主義の世紀となるだろう。」との見通しを明らかにしています。はい、私もまったく同意します。現時点での足元は米国のトランプ政権をはじめとして、欧州でもポピュリズム政党が勢力を伸ばしていますし、日本でもかなり右派に偏った高市内閣が成立し、明日の総選挙でも与党が議席を伸ばすという予想が広く報じられていますので、時代の流れは社会民主主義とか社会主義から逆行しているのではないか、と見る向きもあるのでしょうが、大きな時代の流れ、ここ100年ほどを見るとピケティ教授の指摘する通りとなっています。1930年代の大恐慌からケインズ政策を援用した福祉国家建設が進み、20世紀半ばの終戦直後からその方向は確たるものとなっています。
21世紀がエコロジーを中心とする社会を目指すかどうかはもう少し先のお話ですが、21世紀半ばのカーボンニュートラルは達成できないとしても、少なくともエコロジーを重視する方向を目指さないことには、最悪の場合は人類文明が大きく後退することにもなりかねません。そのために、本書では脱商品化や累進課税の強化による不平等の是正の必要性を強調しています。
本書では日本はまったく対象外の扱いのようですので、私の考えを展開すれば、現在でも日本では医療をはじめとする社会保障と教育とが大きく脱商品化されていることは明らかで、おそらく、エネルギーや通信・交通といった分野にも脱商品化の動きが広がり、さらに、農業や食料生産にも拡大し、一歩一歩社会主義に近づいていくプロセスが進むのだろう、と私は期待しています。
最後に、本書は新聞のコラムが大きな部分を締めており、一見すると統一的なテーマがないように見えかねませんが、そこはピケティ教授の見識をいろんな論考から読み取る題材として考えるべきではないか、という気がします。例えば、フランスのマクロン大統領がよく使う表現に "première de cordée" というのがあります。私の理解でもほぼトリックルダウン理論に近いものであり、本書ではピケティ教授が何度も持ち出して強く批判しています。

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