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2026年02月03日08:16

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上武康亮・遠山祐太・若森直樹・渡辺安虎『日本評論社』(実証ビジネス・エコノミクス)を読みました。

上武康亮・遠山祐太・若森直樹・渡辺安虎『日本評論社』(実証ビジネス・エコノミクス)を読みました。
著者は順に、イェール大学経営大学院マーケティング学科教授、早稲田大学政治経済学部准教授、慶應義塾大学商学部教授、東京大学大学院経済学研究科および公共政策大学院教授、東京大学エコノミックコンサルティング取締役です。
本書は、商品の価格設定、新商品の導入、新規事業への参入など実践的なビジネス課題をミクロ経済学に基づいて評価するためのテキストといえます。レベルとしては大学院修士課程くらいで、ミクロ経済学とゲーム理論のテキストを読了した上で、間接効用関数やベイジアン・ナッシュ均衡などの基礎的な概念理解できる水準、と明記しています。
ただ、本書の主人公ともいうべき役回りをしているのは就職直後の若手であり、自動車会社などから発注を受けてコンサルティングを行っている、という設定です。ですので、少なくとも、私のようにミクロ経済学が専門外であってもRのコードが理解できるのであれば、順を追って実践的な学習は不可能ではないと思います。
5部構成となっており、第�吃瑤離ぅ鵐肇蹈瀬�ションでそもそもビジネス・エコノミクスとは何か、などについて解説した後、第�局瑤亮�要の推定で価格付けについて議論しています。製品間の代替、さらには、旧来商品への需要減などのカニバライゼーションについても議論が展開されています。製品レベルだけではなく、企業合併のシミュレーションも示されています。
第�敬瑤瞭鯵愿�なシングルエージェントの意思決定では、単に新車投入の際のマーケティングだけではなく、モデルチェンジなどに伴う動学的に新車への買替えなどを考慮するのですが、このあたりからマルコフ過程の考えやその確率的なシークエンスが導入されて、私の専門分野にやや近づきます。特に、確率的に状態空間表現したモデルを考えるのは、私のようなマクロエコノミストも馴染みあるところかもしれません。
第�孤瑤寮迭悒押璽爐凌篦蠅任六埔貉夏�について考えます。動学的な参入タイミングのお話ではなく静学的に参入するか、参入しないかです。企業ではなく病院のMRIの導入をトピックにしています。最後の第�紘瑤任蓮▲魯鵐弌璽�ーチェーンを例にして、ライバル企業の将来行動を考えた上での出店戦略の議論を展開しています。
私の感想としては、繰返しになりますが、それほどミクロ経済学に強くなくても、というか、通り一遍の理解があってデータ分析やR言語のコードが判れば、それなりの理解に達することが出来ます。サポート材料もネットで提供されていて、それなりに親切ともいえます。
最後の最後に、私のように参考文献をじっくりとひも解くエコノミストから見て、このビジネス・エコノミクスの分野の基礎は1980年代には十分出来上がっていたように見えます。その後、コンピュータのハードとソフトが十分な発展を遂げて実用化が進んだわけで、分析対象とするモデルの理論的な基礎は1980年代に出来上がっていたように見受けました。おそらく、実業の世界ではそうで、1990年代以降はむしろマクロの金融などの理論モデルの発展があったのだろうという気がします。
もっとも、それをいえば、私の専門分野であるマクロ経済学についてはケインズ卿の貢献により1930年代には理論的基礎ができていた、ということもいえそうです。

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