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2025年12月08日08:49

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藤井敏嗣『富士山噴火』(岩波新書)

藤井敏嗣『富士山噴火』(岩波新書)を読みました。
著者は、東京大学の名誉教授であり、東京大学地震研究所の所長も歴任されています。ご専門はマグマ学、火山学、火山防災政策だそうです。
タイトル通りの本であり、冒頭で、富士山は最近の休止期間が異常に長く、いつ噴火してもおかしくない、という警告から始まります。もちろん、富士山に限らず、火山一般についての解説も豊富に収録されています。噴火の規模の表し方にVEIというのがあり、たぶん、Volcanic Explosion Index あたりではないかと思うのですが、これは噴火の際に噴出する軽石や火山灰などの噴出物=テフラの量に基づいて決定されるので、テフラが少なくて溶岩流ばっかりの噴火の場合には過小評価される可能性を指摘しています。
そういった火山に関する一般的な基礎知識を基に富士山噴火を考え、特に、歴史的には3大噴火があるそうで、800-802年の延暦噴火、864-866年の貞観噴火、1707年の宝永噴火を概観しています。貞観噴火は2018年ハワイのキラウエア火山の噴火と酷似しているらしいです。はい、最近、またしても噴火したと報道されていました。もちろん、古い時代の史料には限界があり、科学的とはとても思えないような記述も紹介されています。
火山がどうして噴火するかといえば、私のようなシロートでも理解しているように、地下に溜まったマグマが何らかの原因で地上に爆発的に噴出するわけです。火山学の専門家でなくても、「マグマが溜まる」というのは、マグマ=フラストレーションの意味で比喩的に使うことはあると思います。
ただ、富士山の場合はマグマ溜まりが地下20キロ以上と深く、現在の観測技術ではマグマ溜まりの膨張などに基づく噴火予知は出来ない、という結論だそうです。私の専門分野である経済学では、経済見通しや予測が当たらないという世間一般の評価なのですが、たぶん、気象や地震予知、あるいは、火山の噴火予知なんかも経済の先行き見通しと、正確性の点に関して大きな差はないのではないか、と思っていしまいました。
富士山が噴火したりすれば、テフラは東の方に飛ぶ、というか、流れるわけで、噴火の規模によっては首都圏が被災する可能性が十分あります。首都圏直下型地震とともに、東京を首都のままにして大丈夫かという疑問は残ります。さりとて、維新が与党に加わって注目されている大阪か、というのも、さまざまな意見がありそうです。
最後に本筋を離れますが、私の感想を2点上げておくと、富士山は日本でもっとも高いという標高だけでなく、その姿かたちの美しさからも評価されているわけで、美術的に宝永噴火で生じた宝永火口や宝永山を無視した富士山を描くことがあるそうです。例えば、横山大観先生は宝永山は絵に描く必要はないとの説だったと紹介されています。第2に、富士山火山のハザードマップの作成が風評被害を懸念する周辺市町村や観光協会の反対意見で中断された経緯を取り上げています。まあ、そういった意見も出るかもしれません。

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