ローエングリン、と言ってもワーグナーではなく、現代作曲家サルヴァトーレ・シャリーノによるオペラ。
ワーグナーのオペラをもとに劇作家ラフォルグが茶化した短編を書き、それを土台としてできたものらしい。
しかも配役はヒロインのエルザのみ。
そのエルザを橋本愛が演じるというわけだ。
プロローグとエピローグに挟まれた4場からなる1幕もの。上演時間は60分ほど。
01.瓦礫のある風景(日本初演)
<休憩>
02.ローエングリン(日本語上演、日本初演)
橋本愛:エルザ
杉山洋一:指揮
吉開菜央:演出・美術
山崎阿弥:演出・美術
大崎清夏:修辞
瓦礫のある風景はショパンのマズルカを下敷きにした2022年の作品。
実はロシアによるウクライナ侵攻を扱ったものだという。
まさに今の時代の音楽と言えよう。
澄んだ抒情性が垣間見えるのが魅力的だが、いろいろ考えさせられる作品だった。
様々な声色を使い分けたセリフ、象徴的な多くの擬音、それらを表現する橋本愛は凄まじかった。
エルザ役には元々歌手ではなく俳優を想定しているとのことで、なるほどそれで彼女が起用されたわけかと納得した。
極めて高い集中力で演じきった60分。その気迫が客席にも伝わってきたのだろう、長く短い時間だった。
ワーグナーの悲劇のヒロインを思い浮かべていると見事に裏切られる。
身体も心も病んでいるのではないか、全て彼女の妄想なのではないか、などなど考え出したらキリがない。
シュールな物語(と言っていいのか?)なので、理解できたとは言えないが、凄いものを体験したということは間違いない。
それでいい。
オケは各パート一名ないし二名の室内編成。
どのパートも特殊奏法を求められているようで、普通の響きはほとんど聴かれない。
ちなみにオケには我らが福川伸陽くんも参加していた。
なんだか観なければいけないものだったような気がする。
それにしても橋本愛ちゃんは凄いな。
彼女の熱心なファンというわけではないが、それでもずっと注目していた。
なので生の愛ちゃんを見られるということがチケットを取った大きな理由なのは否定しない。
いいではないか。
想像以上、期待以上だったのだから。
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