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2021年01月26日23:38

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イザベル・ファウスト&アレクサンドル・メルニコフ@王子ホール

今年最初のコンサート。
久々の王子ホール。そして、このデュオも久しぶり。
今は緊急事態宣言下ではあるが、宣言前に早めに来日してくれていたので開催することができたわけなので、その意気には応えざるをえまい。つまりこれは不要不急ではないのだ。

イザベル・ファウスト:ヴァイオリン
アレクサンドル・メルニコフ:ピアノ

01.シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 イ短調 Op.105
02.ウェーベルン:ヴァイオリンとピアノのための4つの小品 Op.7
03.ブラームス:クラリネット・ソナタ 第2番 変ホ長調 Op.120-2(ヴァイオリン版)
<休憩>
04.シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ短調 Op.121
<アンコール>
05.クララ・シューマン:3つのロマンス Op.22 より第1楽章

最初の一音を聴いただけで「これだよ、これ」と背筋がゾクゾクしてきた。

シューマンのソナタはどちらも晩年の充実期の作品。
急き立てられるような激しさと夢見るような穏やかさとが共存している。シューマン晩年の分裂気質の表れとも言えるのだろうが、妙に溶け合って聴こえる。
そう思えたのは初めてだったので、このデュオならではの解釈だったのかもしれない。
あえて言うなら、1番は抒情的、2番は劇的、ということになるだろうか。

それにしてもイザベルの音の説得力は素晴らしい。
弦を擦るリアルな音がする。ボディがしっかりしていてキレがある。それでいてとても優しい。ヴィブラートをかけないときの透明な美しさといったら…。
そして、その立ち姿もカッコいい。

メルニコフのピアノも素晴らしすぎる。
正確なタッチ、音量も申し分ない。それなのに、何故あんなに柔らかな音を出せるのだろう。しかも輪郭が曖昧になることなく、音の粒立ちがいいのだ。本当にすごい。

ブラームスのクラリネット・ソナタはヴィオラで弾かれることはよくあるが、ヴァイオリンで聴くのは初めてだ。
知らなければ純正ヴァイオリン・ソナタだと思ってしまうだろう。それほど違和感がなかった。元々いい曲だしね。
これからヴァイオリンで弾かれることも増えてくるのかもしれない、なんてことを思う。

さて、密かに楽しみにしていたのがウェーベルン。
4曲もあるのに5分程度しかかからない。ミニアチュールの作曲家ウェーベルンらしい曲。無調時代の曲は十二音時代の曲より聴きやすい。
切り詰めた中で多くを語る。それがウェーベルン。だから饒舌でないとおもしろくない。
短い中で様々な奏法が駆使され音色のバリエーションも豊富。メロディーと言うほど長くはないが、耳に馴染みやすいフレーズも見え隠れする。
このデュオに抜かりなどあるわけもなく、詩情豊かな演奏だった。第3曲の終わりで長く余韻を取るなど、じっくりと音に浸らせてくれた。
シャープで強面ではなく、リリカルで優しい。
ウェーベルンも古典になったのだなと感じた。

アンコールはクララのロマンス。
ほっこりと暖かな気持ちにしてくれた。

このご時世で仕方がないとはいえ、サイン会がないのは淋しいなあ。
まあ、彼らはまたすぐに来てくれるだろう。

夜の銀座は確かに人が少なかった。
店はほとんど閉まっていて、真夜中かよといった趣。
やはり普通ではない。
失われた日常が戻って来ることを祈る。
そしてたぶん、いずれ戻って来るであろう日常はかつての日常とは異なっているのだろうとも思う。

だとしても今日のコンサートが最高に素晴らしかったという印象は変わらない。
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