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2018年07月27日23:36

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三浦友理枝@浜離宮朝日ホール

ショパン円熟期の作品番号50番台の曲ばかりを集めたリサイタル。
非常に硬派なプログラムである。
こんなプログラムを組むか、と思うが、彼女らしいと言えば彼女らしい。
楽譜通りに弾くこと自体が難しいが、弾けたとしてもそれだけではどうにもならない曲ばかり。

01.2つのノクターン Op.55
   第1番 ヘ短調(第15番)
   第2番 変ホ長調(第16番)
02.スケルツォ 第4番 ホ長調 Op.54
03.子守歌 変ニ長調 Op.57
04.バラード 第4番 ヘ短調 Op.52
<休憩>
05.3つのマズルカ Op.59
   第1番 イ短調(第36番)
   第2番 変イ長調(第37番)
   第3番 嬰ヘ短調(第38番)
06.ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 Op.58
<アンコール>
07.即興曲 第3番 変ト長調 Op.51

出だしの2つのノクターンからして尋常でない雰囲気。
彼女の演奏は抒情的なのだが、どこか向こうの世界をチラチラ覗いてしまっているようなヤバさが漂う。

4番のスケルツォは大好きな曲だ。
ことに中間部を彼女は思い入れたっぷりに弾いてくれる。甘美さの極み。美味い酒が欲しくなるなあ。

子守歌は地味ながら傑作中の傑作。
左手の淡々としたオスティナートに乗せて右手が即興ふうにメロディーを紡ぐ。一種の変奏曲。
これこそ聴かせるのが難しい曲であろう。
彼女のタイム感覚は極めて正確ながら、揺蕩うような心地よさを感じさせる。透き通るように美しい音で奏でられるメロディーはどこまでも優しくしなやかだ。

特段盛り上がるわけでもなく淡々と進行する4番のバラード。それなのに飽きさせないのはショパンの作曲の妙というところだろう。それゆえに破綻なく弾き切るのは難しい。バラードなだけに彼女は物語を語りかけるかのように饒舌に音を紡いでいく。ザラつかない透明度の高い低音が芯の通った演奏に仕上げている。

前半は名演の生まれにくい曲ばかりという印象だが、彼女は彼女らしい見事な演奏を聴かせてくれた。

休憩を挟んでまずはマズルカ。
マズルカは短い曲が多いので捉えにくい印象が強いのだが、この演奏を聴いて真剣にマズルカに向き合ってみようかという気になった。

さて、メインのロ短調のソナタ。
2009年3月以来の再演(実際は2週間前の大阪が久々の再演)となる。われわれが聴くのもそれ以来ということになる。さすがに10年近く前のことを細かくは覚えていないが、凄い演奏だったということは記憶している。
今回全体的に深みが増したという印象だが、ことに第3楽章の豊かな表現に彼女の進化を感じた。
技巧的な不安が全くないので、大曲でも安心して聴いていられる。ただ聴いているだけではなく、いろいろな感情を揺り動かされる。心地よい疲労感は充実した演奏を聴いたがゆえ。

これは2009年3月の東京文化会館でのリサイタルに関して。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1106364899&owner_id=3696995

さて、今回ショパンの曲の向こうに新しい響きが聞こえるような気がした。
現代音楽に強い彼女ならではのピアノの鳴らし方や解釈だったのかもしれない。
もしショパンがもっと長く生きていたなら、晩年のリストのように無調の音楽を書いたかもしれない、そんなことを想像した。そんなふうに思ったのは初めてのことだった。

凄みすら感じる充実したリサイタルだった。
それでも彼女はまだ満足してはいないようだ。
頼もしいね。

さて、明日は東京六人組の同僚、オーボエ奏者の荒絵理子のリサイタル。フルートの上野由恵がゲストで招かれている。
そして来週火曜は久々の六人組のコンサート。
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