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2018年04月30日21:42

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川久保賜紀@オーチャードホール

GW前半の目玉。
スーパー・ソロイスツ2018と題されたコンサートの第1回。
(2回めと3回めは申し訳ないが興味なし)

今回のソロイストはヴァイオリニストの川久保賜紀。
彼女がプロコフィエフとチャイコフスキーの2曲のコンチェルトを弾くのだ。
これは聴かないわけにはいかない。

もしかしたら、オーチャードで純正クラシックを聴くのは初めてか?

川久保賜紀:ヴァイオリン
川瀬賢太郎/東京フィルハーモニー交響楽団

01.チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ
02.プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 Op.19
<休憩>
03.チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35

幕開けは弦楽のみでチャイコフスキーの有名な民謡調のメロディー。
元は弦楽四重奏曲第1番の第2楽章。
2階右手のバルコニーで聴いていたのだが、音の響きはまずまずのようだ。

さて、賜紀ちゃんは光沢のあるグレー(シルバー?)のドレスで登場。
まずは私にとってのお目当てのプロコフィエフ。
彼がとんがっていた頃の作品で、そのとんがった部分と彼らしい抒情性が上手く噛み合った名作だと思う。しかし、そのとんがったところを強調するあまりかザラついた音で演奏されることが多い。その度に「それは違うだろ!」と思うのだった。
そして、彼女の演奏はまさに「我が意を得たり」だったのだ。
冒頭の(かつ終楽章の最後にも奏でられる)寒色系の息の長いメロディーがこの上なく透明な音色で奏でられる。そしてグロテスクでデモーニッシュな箇所でも彼女の音色はどこまでも美しい。荒々しい表現でもその音はザラつかない。ラプソディックな表現も抜群に上手く、そこにはいくらかの翳りが感じられる。
リズム的に難しいところの多い曲だが、オーケストラも巧みに合わせていた。さすがにプロの在京オケだな。
大好きな曲を大好きな演奏家で聴ける歓びを堪能した。理想的なプロコフィエフだったと思う。録音してくれないかなあ。

後半は鮮やかな真紅のドレスにお召し替え。
チャイコフスキー・コンクール最高位から何度この曲を弾いたのだろう。
どこを切ってもチャイコフスキーなこの曲をたいていの人は上手く弾く。それだけに耳をそばだたせるような演奏にはなかなか出会えない。聴く方も聴き飽きている、というのもある。
だから気楽に聴こうと思っていた。
しかし、そうはいかなかった。彼女の語り口にすっかり引き込まれた。振り回されて、うっとりさせられて、興奮させられて、気が付けば終わっていた。
知った気になっていたが、私はこの曲のことをたいしてわかっていなかったのかもしれない。

彼女の底力を思い知らされたコンサートだった。
相変わらず立ち姿が美しい。眉根を寄せた悩ましげな表情もいつもと同じ。
しかし、いつもよりも気合が入っていたのか、目力の強さ、視線の鋭さ、が印象的だった。

終演後のサイン会は長い列。
それでも滞りなく進んでいく。
コンチェルトを2曲という後ではかなり疲れているだろうに。
と言いつつもやはり話をできるのは嬉しい。

あの凄みすら感じさせる姿とは打って変わって、終演後はいつものほんわかした賜紀ちゃんなんだよなあ。
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