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2016年07月25日13:56

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釋超空のうた 3

『夕空の さだまるものか。
   ひたぶるに
 霄(は)れゆく峰に、
むかひ 居にけり  』
***
座敷の障子を開け、正座して、武士が雨上がり夕空をじっと見ている。

傍らに太刀を置き、正座の姿は微動だにしない。
その凛とした姿。
なにかを覚悟しての夕空の凝視だろう。

あした切腹するのかも知れない。
***
与謝蕪村に以下の句がある。

『お手打ちの 夫婦(めをと)なりしを 衣替(ころもがへ)』

この夫婦の仔細な事情はここでは問わない。
ただ、あした夫婦共お手打ちなるのだ。
しかし今日は衣替えの日。

夫婦は今日平然として衣替えをする。
毎年行っているように。
***
私はこういう人たちの心構えに憧れる。
非日常を目前としながら日常の中の平常心。
***
雨あがり空はやがて夕焼けへと赤く染まっていく。
開け放った障子の外の樹々も静かだ。
武士はやはり正座を崩さず凛として「霄(は)れゆく峰」をみつめている。

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