電気メス機器には、切開と凝固の作用があることは先の日記に書いた。
試作機を作るにあたっては、切開と凝固の作用の効果が果たして、どの程度あるか調べなければならない。
まさか、本物の人間を使って調べるわけにはいかない。
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そこで考えたのが、クジラの生肉を使うことだった。
家内に頼んで、約2kgのクジラの生肉の塊 (かたまり) を入手してもらうことにした。
どこで、どのようにして、そんなクジラの生肉の塊を家内が入手できたのか、今、家内に訊きいても覚えていないそうだ。そりゃあそうだろう。半世紀程前の話だからだ。
家内には或る種の才能?があって、このテの「難問」は解決してきた。
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ともかく、その生肉の塊を入手して我が製作機の効果に使用したのだった。
其の生肉の塊を対極板の上に置いて、メスで切ったり、凝固させたりした。我ながら見事に実験は成功した。しかし、臭くて臭くて、しようがなかった
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私の電気メス機器の試作期間は約3カ月と記憶している。
上記したクジラの生肉の塊は、私が勤めていた会社の何処に保存したのか記憶がない。
たぶん、会社にある冷蔵庫にでも入れたのだろう。もちろん、ビニールの袋か何かに入れて保存したのだろうが、同僚に迷惑をかけたに違いない。その件についても今や何も覚えていない。
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さて、目出度く我が試作機も完成し、先の日記に書いたように、当時の通産省の委託だと記憶している『医療機器の安全性に関する研究』が、他の人の他の医療機器の試作機と共に、会社内で披露することになった。
当日、会社のお偉いさんの方々も見物にきた。
私が、例のクジラの生肉の塊を、切ったり、凝固させたりするのを、お偉いさんたちが、面白そうに見ていたものだ。
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その、お偉いさんの中に、会社の重役もいたそうで、後日、知ったことだが、クジラの生肉の塊の実験が、よほど気に入ったらしく、私の電気メス試作機の製品化が検討されたそうだ。
或るとき、その話が或るスジを通して、製品化の可能性の問い合わせがきた。
そのとき私は或る理由で、それは不可能だと答えた。
ここら辺の話は別の機会に書くが、いずれにせよ、私の電気メス試作体験記において、此のクジラの生肉の塊の実験は忘れ難い。
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