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2016年03月13日21:52

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キース・エマーソン逝去

もう昨日のことになるが、キース・エマーソンの訃報が流れた。
亡くなるにはまだ早い、と思っていたら、どうやら自殺だったらしい。
原因はわからないが、遣り切れない思いが募る。

70年代英国プログレを代表するバンドとしてエマーソン・レイク&パーマー(略してELP)はよく知られている。日本でも人気が高い。
ギターを欠いたいわゆるキーボード・トリオで、その中のキース・エマーソンはシンセサイザーの進化に大きく寄与したキーボード奏者である。ロックバンドの中でギターに匹敵するほどの存在になりえることを証明し、おそらくロック界最大のキーボード奏者と言ってもいいのだろうと思う。

しかし、実のところ私は彼に対してもELPに対してもさほど思い入れはない。
偉大であることを認めるのに吝かではないが、それと好きかどうかというのは別の話なのである。
ELPの最初の2枚のアルバムは傑作であると思う。特に2nd『タルカス』は素晴らしい。
(写真左が1st、右が2nd『タルカス』)

余談だが、私がELPに思い入れがない理由の最も大きなものは、カール・パーマーのツッコミすぎでド派手な(ひどく言えばうるさい)ドラミングにあるのかもしれない。カール・パーマーならエイジア在籍中の手数が減った(それでも多いが)時期の方が良いと思う。

彼らには『展覧会の絵』というライヴ・アルバムがある。
ムソルグスキーのあの名曲をアレンジし、オリジナル曲を追加したものである。
彼らのアルバムの中でもトップクラスの人気を誇る。
正直に言うなら、私はこのアルバムで彼らにがっかりした。
何故なら、それはムソルグスキーのピアノ原曲やラヴェルの管弦楽曲版よりも魅力的には思えなかったからだ。そこにクラシックのアダプテーションの難しさがあると思う。クラシックはある意味メロディーとハーモニーとリズムがガッチリと固められた音楽である。それを斬新に響かせるには一度解体し再構築する必要がある。意図したものかどうかわからないが、ここでの彼らの音楽は原曲に寄り添ったものになっている。原曲の良さを生かそうとした結果なのかもしれない。なので私にはロックではなく、アレンジものとしか聴こえないのだ。
アンコールとして収められた『ナットロッカー』(チャイコフスキーの『くるみ割り人形』の行進曲)の方がより創造性に富み独創性に溢れている。

クラシック好きに薦めるロックアルバムとしてよく挙げられるのがその『展覧会の絵』なのだが、それはかえって逆効果だと思う。
ELPのアルバムであれば『タルカス』にすべきであろう。

エマーソンはクラシック志向の強い人でもあり、ELPのアルバムの中で自作のピアノ協奏曲を披露している。三楽章構成でしっかりオーケストレーションもされた労作である。意外にゴツゴツした質感で、安易に作られたものではないことはよくわかる。
ただ古今のピアノ協奏曲の中に入れてしまうと、キース・エマーソンが書いたという以上の魅力はないように感じられてしまう。

などと偉大な故人に大してエラそうなことを述べてきたが、ロック・キーボードを考えるにあたってはどうしても意識せざるをえない存在なのだ。
自分とは相性が良くないということに過ぎない。
先の『展覧会の絵』やピアノ協奏曲にしても、それらを傑作であるという意見を否定するつもりはない。
感じ方は人それぞれであっていい。
少なくとも彼のスタイルは後続の大きな目標になったことは間違いない。

それゆえの悩みも多かったのかもしれない。

ELP解散後は不遇だった時期が長かったようだ。
元気に活動していたが、ELP時代の栄光を取り戻すことはできなかった。
それでもこの世にいること自体がレジェンドであったのだ。創造力が枯れたわけでもなかった。
自ら命を絶った理由はまだ明らかにされていない。

冥福を祈る。
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