mixiユーザー(id:3696995)

2015年09月10日23:05

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ヒーリング効果抜群

ハイドンという人は日本では過小評価されすぎているように思う。
古典派三人衆の中でも評価人気ともにあとの二人に大きく水をあけられている。神童モーツァルト、楽聖ベートーヴェンと比べては酷というものか。さらにその前には音楽の父バッハがいるとあってはまるでハイドンが音楽史の谷間のように思えてしまうのむべなるかな。

いやいや、そんなことはあるまい。

音楽史上の重要人物だなんてことはどうでもいい。
ハイドンがいなければ交響曲や弦楽四重奏曲はもっと違ったものになっていたかもしれない。そもそもソナタ形式というものすらどうなっていたことか。
しかし、そんなことはどうでもいい。本当はどうでもよくないのだが、ハイドンの音楽を聴くということではたいして重要なことではないからだ。

ハイドンの膨大な数の作品の中心となるものは交響曲と弦楽四重奏曲であることは間違いない。それにピアノ・ソナタも重要ではあるが、三本柱というならミサ曲ではないかと思う。
いわゆるキリスト教の典礼音楽だが、ハイドンはこのミサ曲を12曲残している。交響曲や弦楽四重奏曲に比べれば少ないが、ミサ曲としては異例の多さとも言える。
大真面目な音楽なのだが、そんな中にもハイドンらしい快活さや優美さは損なわれることのない美しい作品ばかりである。
本来通勤時に聴くなんていうことが許される音楽ではないのだが、ハイドンならそれも許してくれそうな気がする。だいたい30分から40分くらいの曲が多いのだが、『聖チェチーリアのミサ』は1時間を優に超える大作で、その中の『グローリア』だけでも30分ほどかかる。
『ネルソン・ミサ』『戦時のミサ』『テレジア・ミサ』『天地創造ミサ』『ハルモニー・ミサ』あたりが比較的知られているだろうか。とにかくハイドンには駄作がない。これほどの多作家にしては驚異的だと思う。

ちなみに、ミサ曲の歌詞は典礼文を使っていて、ハイドンはほとんど以下の標準的な構成で作曲している。
・キリエ
・グローリア
・クレド
・サンクトゥス
・ベネディクトゥス
・アニュス・デイ

こういう曲は信者でなくても心に響く。
普遍的な魅力のある曲に仕上げたのはやはり作曲家の手腕であろう。意図していたかどうかはともかく。
敬虔な祈りと清廉な響きは、そこらへんの癒し効果をウリにした音楽よりも、よほどヒーリング効果がある。心が洗われるというか、穏やかな気分にさせてくれるのだ。音楽はときに劇的でときに切ないのだけれど。

今回入手したのはnaxosから出ている全集盤8枚組。12曲のミサ曲にスターバト・マーテルも含まれている。
トリニティ教会合唱団とレーベル・バロック管弦楽団(指揮:J.オーウェン・バーディック、ジェーン・グローヴァー)という聞いたことのない団体だが、これはいい演奏なのではないかと思う。オケは古楽団体らしい溌剌とした足取りが魅力だ。天上の歌声のようなコーラスは時として児童合唱のようにも響き、とても清潔感のある歌唱である。ソリストのレベルも総じて高く、中でもソプラノのアン・ホイットの清廉な声がひときわ美しく響く。ただピリオド奏法の器楽とノンヴィブラートのコーラスに対し、ソロはヴィブラートも取り入れるなど、様式に若干のズレを感じなくもないが、その折衷路線がおもしろいとも言える。
やるなnaxos、といったお得盤と言えよう。
分売もされているので、気になった方はそちらもどうぞ。

やはり自分にはモーツァルトやベートーヴェンよりもハイドンの方が近しく感じる。
波長が合うのかもしれない。
若いころはそもそも古典派の音楽にはあまり惹かれるものがなかった。年を取って好みが変わってきたのだろうか。ようやくそうした音楽を良く思えるオトナになったということかもしれない。
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