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2015年03月24日21:32

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三浦友理枝@東京都美術館 講堂

今日は予定通りの休暇。
昼間にやるなら土曜か日曜にしてくださ〜い。
まあ、休暇というのはこういうことのために取るものである。

というわけで今日は昼間のコンサート。
三浦友理枝によるピアノ・リサイタル。
東京・春・音楽祭の中のプログラムで、東京都美術館で開催中の「新印象派展」とリンクした企画。なので会場は東京都美術館の講堂。
選曲も新印象派に合わせたものになっている。

ちなみに新印象派とはモネやルノワールの印象派の絵画技法をさらに推し進め点描技法にまで行き着いた作風のことを言う。近くで見るとただの点々だが、離れてみると情景が見えてくるというマジックのような作品である。色彩理論を実現したもので、科学的で理論的な作品とも言える。スーラやシニャックが代表選手。
ただこうした作風に対してモネやルノワールは否定的だったという。世間から散々叩かれて悔しい思いをした彼らが、かつての自分たちと同じような境遇の後輩たちを叩くというのだからおもしろい。さんざん姑にいびられてツライ思いをしたのに自分も嫁いびりをするというのと同じようなものか。

ま、そんな話はともかくとして。
友理枝ちゃんが新印象派というテーマで選んだプログラムはこれ。

01.ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女(前奏曲集第1巻より)
02.ドビュッシー:半音階のための(12の練習曲より)
03.ドビュッシー:喜びの島
04.シマノフスキ:メトープ Op.29
05.ラヴェル:水の戯れ
06.ラヴェル:ラ・ヴァルス
<アンコール>
07.ドビュッシー:月の光

シマノフスキを入れるあたりが友理枝ちゃんらしい。

ドビュッシーの『喜びの島』は彼女が得意とする曲。
これはリズムが正確でないといい曲には聴こえない。久々に聴いたがやはりいいね。

さて、個人的には今日のメインの『メトープ』。
『セイレーンの島』『カリプソ』『ナウシカー』というギリシャ神話(というかホメロスの『オデュッセイア』)に出てくる女性をテーマにした曲から成る組曲。ストーリーを描いたというより、それぞれの女性の印象や情景を描いたものと言えよう。同時期の『仮面』とともに大好きな曲で、それを彼女の演奏で聴けるというのだから至福の時間である。
きらびやかな細かいパッセージの連続。なるほどこの手法は点描的と言えるのかもしれない。それだけに音の分離が明確で高音から低音まで純度の高い美しい音が求められる。濁った音はシマノフスキには相応しくない。
彼女の弾くシマノフスキは本当に素晴らしい。
強い意思を秘めながらも悲しい運命を受け入れなければならなかった女性たちの凛とした姿が浮かんでくるようだ。
彼女が誰にいちばん肩入れしていたのか…。それはわからなかったが。

ラヴェルの『水の戯れ』はまさに彼女の名刺代わりの一曲。
彼女は水の表現が巧みだ。先の『メトープ』にも海のイメージが結びつく。
一時期はリサイタルのたびに聴けたものだったが、これも久々だ。今年はラヴェルの全曲演奏会が控えていることもあって、聴ける機会が増えそうだ。

『ラ・ヴァルス』はご存じオーケストラ曲のピアノ独奏版。超絶難曲として知られる。
彼女はこの曲をデビュー盤に収めている。そのときのインストア・イベントで彼女がタダモノではないことを知らされた曲で、聴くのはそれ以来だった。
実は彼女は技巧派でもあるのだ。しかも技巧派にありがちな音の濁りがない。荒っぽさも微塵も感じさせず、むしろ端正だ。
頽廃的な雰囲気にはやや欠けるかもしれないが、息をするのも忘れさせるような快演だったことは間違いない。左の拳で鍵盤を叩くのもバッチリ見えた。

一時間ほどの短いコンサートとはいえ、内容はとても濃かった。
ドビュッシーとラヴェルだけでは印象派に留まってしまったろうが、シマノフスキを入れたことで見事に新印象派にまで広がった。
とにかく音数の多いリサイタルだった。
それにしても本編をピッタリ一時間で終えるあたり、MCの時間も含めて計算済みだったな。

さて、これでシマノフスキの大作ピアノ曲は2番のソナタを残すのみとなった。
難曲中の難曲と知られているこの曲、いつ聴かせてくれるだろうか。ちなみに3番のソナタも2番に勝るとも劣らないほどの難曲だそうだが、すでにこれはB→Cにて開いた口がふさがらないほどの見事な演奏を披露している。
ワクワクはまだまだ続く。
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