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2015年01月19日22:12

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黒人女性とジャズ

モダン・ジャズは西洋音楽の理論に黒人音楽の要素を加味し、即興演奏を重要視することで発展した。
なのでモダン・ジャズ・ジャイアンツの多くは黒人である。
モダン・ジャズの歴史は差別との闘いの歴史でもある。
アート・ブレイキーが1961年に来日した際にその大歓迎ぶりに「オレを人間として迎えてくれたのはアフリカと日本だけだ」と感激したという。そのくらい差別されてきたのだろう。
もちろん日本だって差別のない国だとはお世辞にも言えないのだが、少なくとも肌の色で差別するほど莫迦ではなかった。

1950年代、今よりももっと差別思想がはびこっていた時代、黒人が音楽をやるということは大変な苦労があったことだろう。まして女性であればなおのこと。
「黒人 女性 ジャズ」でググってみると出てくるのはほとんど歌手ばかりである。確かに名歌手は多い。ところが器楽演奏家はなかなか出てこない。そのくらい少ない。
黒人女性がミュージシャンになるということは酷く困難なことだったろうと想像する。
私がLPなりCDなりで聴いたことがある黒人女性のジャズ・ミュージシャンは、シャーリー・スコットとドロシー・アシュビーとアリス・コルトレーンくらい。

アリス・コルトレーンはあのジョン・コルトレーンの妻として知られる人で、ピアノやハープやいろいろな楽器を扱う。ただその演奏は私には合わないようだ。ジョン最晩年のグループのピアニストであったが、どうしても前任者のマッコイ・タイナー不在が惜しまれてしまう。

シャーリー・スコットはオルガン奏者。
ジャズ・オルガンというとどうしてもアーシーな印象なのだが、そこに繊細さを加味し音色のバリエーションが豊富なのがシャーリーの魅力であろう。早くからプレスティジ・レーベルから多くのアルバムをリリースしている。黒人女性としては恵まれていたと言えるだろうが、その多くは今では入手困難になっている。たいていのオルガン奏者はペダルないし左手でベース・パートをこなすので、グループにはベーシストが不在となるのだが、彼女の場合はベーシストを加えたトリオ編成が多い。なので両手を自由に使うことができる。ベースが加わることでボトムが安定し、とても心地よい音楽になっている。
ジミー・スミスを筆頭にオルガンの名手も多いが、彼女もまた忘れえぬ名手である。
夫君スタンリー・タレンタイン(ts)と共演したものも良いが、やはりオルガン・トリオによるものがいい。たまにピアノを弾くこともあって、これがまたなかなか見事なバップ・ピアノになっている。
一枚を選ぶなら、エリントン・ナンバーを爽やかに弾き切った『Scottie Plays The Duke』を挙げる。

ハープでジャズをやってしまったのがドロシー・アシュビー。
もちろんブルース・ハープではなく、いわゆるグランド・ハープである。
少なくともジャズ向きではないハープでアドリブ勝負のハード・バップをやっている。それでもどこか清涼感が漂うのはハープという楽器の特性なのだろう。
決してキワモノではない。典雅な雰囲気を漂わせつつもホットなインプロヴィゼーションを展開する。
初期3枚にはフルート奏者としてフランク・ウェスを招き、それが成功につながった。おそらくハープと最も相性のいい楽器はフルートだという確信があったに違いない。
やがてオリエンタルな要素を加えつつ、ジャズとワールド・ミュージックの融合を模索するような作品を作るようになった。またスティーヴィー・ワンダーの録音に参加するなど、それなりに知られた存在だったようだ。
一枚を選ぶならこれだろう。『In A Minor Groove』、フランク・ウェスとの共演の最終作。このアルバムだけは何度も再発されている。ジャズ・ファンの心を密かに掴んで離さない名作。

今やジャズは世界のいろいろなところで演奏されるようになった。
日本もジャズが盛んな国と言える。女性演奏家も多い。
それでも困難な時代に果敢にジャズの世界に飛び込んでいった女性がいたことは覚えておきたい。
実力と運だけでなく、多くのものと闘わなければ勝ち取れなかったろうし、その苦労は並大抵のものではなかったはずだ。それでも彼女たちの活躍は多くの黒人女性に勇気を与えたことだろう。そんなことを思うと、彼女たちの奏でる音楽にはどこかビターな味わいがするような気がするのだ。

Shirley Scott 『Caravan』、LP起こしのようでノイズが多いが…。

Dorothy Ashby with Frank Wess 『Alone Together』

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