コロラトゥーラ・ソプラノというと、軽やかな声で超絶技巧を駆使し最も高い音域を歌うソプラノ、ということになるだろうか。
モーツァルト『魔笛』の夜の女王、ドニゼッティ『ランメルモールのルチア』のルチア、リヒャルト・シュトラウス『ナクソス島のアリアドネ』のツェルビネッタなどなど、魅力的な役柄も多い。こうした役のアリアはたいてい難曲として知られている。
そしてコロラトゥーラの中でも特に超高音を得意にしている歌手をハイ・コロラトゥーラという。
ハイトーン・ヴォイスというのはそれだけでカタルシスなのである。
そのハイ・コロラトゥーラの100年にひとりの逸材と言われているのがウィーン在住の田中彩子。
まあこうした飾り言葉は話半分で捉えておいた方がいいのだが、逸材であるのは確かだと思う。
そんな彼女のデビューアルバム『華麗なるコロラトゥーラ』が先週リリースされた。
ショップの店員さんに箱から出してもらってまでフラゲしたのに、なかなか通して聴ける機会がなかった。先週は体調を崩していて聴けるどころではなかったというのもある。
収録曲を見ずに買ってしまったので、ハイ・コロラトゥーラをウリにしているのだから技巧的な曲ばかりかと思ったら、そうでもなかった。じっくりと聴かせる曲も収録されている。技巧を聴かせたいのではなく歌を聴かせたい、という主張が明確で好感が持てる。
彼女の声は軽く涼やかだ。さらにあまり声楽的な発声という感じがしない。誤解を招く言い方になるが、少女声である。(普段の話し声はアニメ声っぽいようだ)
たとえば『夜の女王のアリア』などは夜の女王にしては声が可愛らしすぎるように思うのだが、危なげのない技巧は聴いていて心地よい。
もっとも、この声をいいと思うかどうかは意見が分かれるのかもしれない。
私はもともと声楽的な発声があまり得意ではないので彼女の声をすんなり受け入れることができる。
思えば好きなソプラノ歌手には涼やかな声の人が多い。たとえばレリ・グリスト、エディット・マティス、モイツァ・エルトマン、クレール・ルフィリアトル、日本の幸田浩子などなど。
そういう点では好みに合っているとも言える。
ジャケットを見ての通り美人である。
オペラ歌手にとってはルックスも重要であろう。YouTubeにTV出演したときやレコーディング風景の動画が転がっているが、ジャケットに偽りなしである。
ヨーロッパの人たちにどう映っているかはわからないが、やはりカワイイは正義なのである。
ま、冗談はともかく、これからの活躍が十分に期待できる歌手であることは間違いない。
某レコード会社の宣伝文句は話半分くらいに聞いておくとしても、とても魅力的な歌手であり、なかなかの好盤に仕上がっているのは確かであろう。
若いがゆえに未完成な部分は欠点にはあたるまい。むしろそれは可能性と捉えるべきだろう。
さて、そんな彼女が日本でリサイタルを行なう。
首都圏では来年3月18日、紀尾井ホール。まだチケットはいくらか残っているようだ。
CDがリリースされる前、ちょっと動画を見ただけで、勢いで取ってしまったのだが、CDを聴いてとても楽しみになってきた。
http://ayakotanaka.jp/
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