妙なもんにはまってしまった。
その存在はずいぶん前から知ってはいたのだが、どうせたいしたことあるまいと知らんぷりを決め込んでいた。ところがどうしてその1stアルバムは痛快でご機嫌な出来だったのだ…。
BABYMETAL、メタルダンスユニットということらしい。
ティーンの女子三人組。リード・ヴォーカルとコーラス二人という編成である。AKB48やモモクロのようなアイドル・ユニットなわけだが、へヴィメタルというのがなんともおもしろい。
つまりへヴィメタルとアイドルという様式美同士の融合なのだ。
メタルとは言ってもその音楽性はミクスチャーである。ラップやエレポップの要素も色濃い。土台がエクストリーム系のメタル・サウンドということだ。つまり暗黒系の音楽で、ご丁寧にヤロウによるデス・ヴォイスも入っている。
しかし、その歌詞世界はハチャメチャである。シリアスなのかふざけているのか、もうわけわからん。で、そのわけわからなさがBABYMETALの世界観なのだろう。
途中で「さ〜くら〜、さ〜くら〜」のメロディーが飛び出してきたり、あるいは「コガネムシは金持ちだ〜」が出てきたり、ちょっと笑撃的である。
リード・ヴォーカルの子はよく歌えている。ノン・ヴィブラートのハイ・トーン・ヴォイスはなかなか気持ちいい。彼女がじっくりと歌い上げられるようなシリアスな曲も用意されている。
『イジメ、ダメ、ゼッタイ』というメッセージ・ソングもある。
海外で話題になっているらしい。
いや、話題どころではない。それこそ今まで米国進出を狙った誰よりも注目されている。海外の専門誌に取り上げられたり、チャートにもランキングされたりしているようだ。
その取り上げられ方はむしろ日本よりも大きいように思う。
メタルの本場は欧米である。日本ではマイノリティだ。それゆえ向こうで注目されているのだろう。そして「カワイイ」という日本独特の概念が向こうの人たちの心を捕えたのかもしれない。
もちろん賛否両論あるに違いない。
おどろおどろしいメタル・サウンドとカワイイが合体するとどうなるか、それがBABYMETALという回答である
ちなみに、BABYMETALはベビーメタルと発音するべきだろう。ベイビーメタルではない。へヴィメタルにかけているのだろうからベビーメタルでなければならないはずだ。略すとベビメタ。
中央に凛とした少女(高校生)、両脇にちんまいのが二人(中学生)。この二人は少女というより幼女というポジションだろう。私は何故か座敷童子を連想した。髪型はツインテールで、顔立ちもベビーフェイスである。
その年齢的なものから彼女たちは永続的な活動はできないだろう。それこそ花の命は短くて、だ。
滅びることを知りつつ、行けるところまで突っ走る。
その潔さには刹那的な雰囲気が漂う。
そして、それはどこか桜に似ている。
ハチャメチャではあるけれど音楽自体はしっかりしている。
なので鑑賞に堪えうるのだ。
CDに付属していたDVDの映像も見た。その中にはライヴ映像も含まれている。
これがまた良い。CDではわからなかったことがよくわかる。
ヴォーカルはライヴでも乱れないし、ちんまいの二人はブチ切れのダンスを見せる。
三人とも目力がある。その視線の鋭さに少女という生き物に潜む魔性が覗く。
この世のものでない者たちとこの世の者たちをつなぐ者たち。
いや、彼女たち自身が物の怪であるのかもしれない。
それは女くささを排しているからなのだろう。カワイイを売りにしつつも親しみやすさや近しさとは一線を画したアイドルとして存在しているのだ。
親から目線で見ているファンも多いのだろうと思う。
それは彼女たちのキャラによる。
たいていのアイドルは年齢的には少女であってもどうしても女性を感じさせてしまう。
そこをメタルというゴシック的(というよりは日本の伝承・妖怪的)な世界観というフィルターをかけることで特殊な生き物である少女というものを際立たせることに成功している。ジェンダーというくくりから解放された不思議な生き物としての少女と言うべきか。
BABYMETALが一般にイメージされるアイドルと異なる点はそうしたところにある。
それゆえ、アイドル・ファンよりもむしろメタル・ファンがはまったのではないだろうか。
というわけでここ数日繰り返し聴いている。
私の中では一昨日素晴らしい演奏を聴いたマーラーの9番となんら違和感なく共存しているのだ。
つくづくクラオタの資格はないなあと思い安堵するのであった。
さて、そのBABYMETALの動画をいくつか貼っておこう。
ログインしてコメントを確認・投稿する