今日は突然用事ができてしまい、仕方なく休暇を取ることにした。
で、その用事が早く済んでしまったので、午後から六本木に向かった。
六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開催中の「ラファエル前派展」を観るためである。
平日、それも月曜とあっては空いているだろうと思ったのだが、結構な混みようだった。
http://prb2014.jp/
ラファエル前派とは19世紀半ばにイギリスで起こったムーヴメント。
保守的なアカデミズムに反旗を翻し、ラファエロより前のルネサンス美術の理念に立ち返ろうというものだった。ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ジョン・エヴァレット・ミレイ、ウィリアム・ホルマン・ハントによって結成された。
高度な技術に裏打ちされた見事な写実性で、キリスト教や神話や伝承の世界といった物語性豊かな世界を描いた。さらに耽美的とも言うべき、美そのものが至高の表現であるかのような作品も多い。
フランスで印象派が起こる30年ほど前、ラファエル前派の登場はスキャンダラスだった。批判と嘲笑に晒されたという。
今となっては決してそうは思えないのだが、当時は明らかに前衛だったのだ。
さらに言うなら、後の象徴主義につながるものとも言えよう。
今回はロンドンのテート美術館のコレクションが世界を巡回した最後が東京とのことである。
目玉はミレイの『オフィーリア』とフライヤーにもなったロセッティの『プロセルピナ』か。
『オフィーリア』はミレイの代表作というだけでなく、英国絵画の至宝とも言えよう。
川に身を委ね、まさに死に行く直前のオフィーリア。その恍惚とも言える彼女の表情は何を意味するのか。そしてその画面に象徴的な意味を持たせているのが、散りばめられた色とりどりの花だと思うのだ。
凄みのある傑作。
『プロセルピナ』はロセッティが描いた女性像の中で最も美しいものかもしれないと思う。
このころはヴィクトリア朝時代だったことを思い出させる作品でもある。
ミレイやロセッティが中心になるのは当然だとして、ハントの扱いがやや小さいか。
純粋にラファエル前派に括られる人たちだけでなく、周辺の画家の作品も展示されているので、興味深い半面やや散漫な印象になってしまったと言えなくもない。
後半ではラファエル前派第二世代とも言うべきエドワード・バーン=ジョーンズの存在感が際立つ。
ラファエル前派の全体的な特徴としては画面が静謐だということだろうか。
言い方を換えれば、動きがない。その一瞬の時間を止めたような印象を受ける。
そして、明るい主題が少ないのも特徴のひとつと言えるかもしれない。
72点という点数は多いとは言えないが、見応えがあった。
ラファエル前派を俯瞰する展覧会は珍しいだけに貴重な機会だったと言えよう。
会期は4月6日まで、毎日夜の8時まで開館している。会期中無休。
ちなみに丸の内の三菱一号館美術館で開催されている「ザ・ビューティフル」がラファエル前派の枠を超えた英国唯美主義をテーマにした展覧会になっている。
こちらは5月6日まで、月曜休館。
http://mimt.jp/beautiful/
そういえば、ミレイの『オフィーリア』が前回来日したのは2008年のこと。
そのときの感想はこちら。。。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=936405817&owner_id=3696995
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