今やバンドはギャルバンの方がおもしろい。
女子がロックをやることは男よりも楽ではない。世間の目というモノもあるし、女性はこうあるべきという古臭い考え方も消えていない。そんな中でロックをやるというのはチャレンジャブルでアグレッシヴなことだと思うのだ。それこそがまさしくロック・スピリッツではないか。
アゲ嬢ふうの衣装と盛りヘアという出で立ちでデビューしたのがAldious(アルディアス)というバンド。その音楽は正統派メタルだった。
ツイン・ギターにリズム・セクションの4ピースにヴォーカルという五人編成。決して技巧的というわけではないが歌メロにしてもギター・ソロにしてもとてもメロディックで、そこが大きな個性である。少なくともリズム・セクションに関してはかなり上手いと思う。
結成以来のヴォーカリストが健康上の理由で脱退し、今は二代目を迎えて活動している。そして当初のアゲ嬢ルックから黒を基調にした正統派メタル・ファッションにシフトしつつある。
そんな彼女たちの昨年のツアー・ファイナルを収録した映像作品を見た。
ヴォーカルが替わった3枚目のアルバムを聴いたとき、実は少々不安に感じていた。
メタル・シンガーとしては声質が柔らかく、さらにハイトーンではない。メタル・サウンドに中音域の柔らかな声という組み合わせは個性的ではあるのだが、そのぶん変化に乏しく感じてしまうのだ。
しかし、映像作品を通して見て思った。
これでいいのだ。
もともとAldiousには明るくハッピーな曲というのはない(と言い切ってしまう)。疾走感のあるマイナー・メロディーが特徴なのだ。それにこのヴォーカルは合っている。超絶ハイトーンのカタルシスはないが、Aldiousの世界観を歌うにはこの声でいい、そんな説得力がある。音程もしっかりしているし、よく歌えている。メタルを歌うということに慣れてくれば、もっと声が出てきそうな気がする。
ギターも速弾きのようなテクニカル面を強調するのではなく、ソロではひたすらメロディックに弾く。スタジオ版とほぼ同じソロだが、口ずさめるようなメロディーはやはり魅力的だし、それゆえ崩してほしくないと思ってしまう。なのでこの路線は正解だろう。二人のコンビネーションもよく、ザクザク刻むリフも心地よい。いかにもメタルっぽいリフではあるが、どことなく品の良さを感じさせる。
ベースはメンバー中いちばん小柄か。5弦ベースを巧みに操る。メタルのベースというのはたいていリズム・ギター(あるいはかリフ)とユニゾンなのであまり目立たないのだが、Aldiousの場合はそれを逸脱したフレーズを奏でることも多い。微笑みながらちょっとメイドっぽい格好でパワフルに弾いている。
Aldiousのドラマーは上手い。ワン・バスをツイン・ペダルで踏んでいるのだが、この足技が巧みだ。単に連打し続けるだけでなく、アクセントの付け方が上手い。もちろん手数も多い。とてもしなやかという印象だ。
映像作品を見る前に、YouTubeでツアーを追いかけた番組を見た。
ステージ用のファッションではなく、普段着でインタビューに答えている姿を見ると、普通のおねえちゃんたちだなあ、と思う。言葉遣いも丁寧だし、きっといい子たちなのだろう。
彼女たちはそれぞれの思いをメタルにぶつけている。一生懸命さというのが映像から伝わってくるし、演奏している表情が楽しそうで良い。
下の動画はその映像作品のダイジェスト版。
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