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2012年10月16日23:01

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福士マリ子(ファゴット)@オペラシティ・リサイタルホール

第三火曜日は「B→C」の日。
オペラシティ主催の名物リサイタル。Bach to Contemporary、バッハと現代音楽を組み入れることを条件に、演奏者が自由に(ただし審査あり)プログラミングできる。

今月から三回、東京交響楽団の女流が続く。
先頭を切るのは首席ファゴット奏者の福士マリ子嬢。
ファゴット奏者の「B→C」は3月に東京フィル首席の黒木綾子嬢を聴いたばかり。ファゴットのリサイタル自体が珍しいのに、年に2回も聴けるというのもすごいことだ。

福士マリ子:ファゴット
永原緑:ピアノ *

01.ヴィヴァルディ:ファゴット協奏曲 ホ短調 RV484 *
02.サン=サーンス:ファゴットとピアノのためのソナタ ト長調 作品168 *
03.バッハ:無伴奏チェロ組曲第2番 ニ短調 BWV1008
<休憩>
04.福士則夫:竜夢(2012、福士マリ子委嘱作品、世界初演)
05.ヌッシオ:ペルゴレージのアリエッタによる変奏曲(1953)*
06.フランセ:ディヴェルティスマン(1942/68)*
<アンコール>
07.イベール:カリニャン

前半と後半で色合いのくっきり分かれたプログラム。かと思ったら…。

最初のヴィヴァルディはとってもカッコいい曲。
こういう曲を選んだセンスに感心する。この1曲で掴みはオッケーだ。

サン=サーンスのソナタもいい曲だ。これが彼の最後の作品なのだそうだ。
しかし、カッコいい曲をたくさん書いたサン=サーンスだが、これは小洒落た感じの曲に仕上がっている。メロディアスなところは彼らしい。後のプーランクにつながるようなエスプリを感じる。そういう点ではモダンとも言えるか。サン=サーンスはもっと人気が出ていいはずだと思う。
ファゴット用のオリジナルだけあって無理のない演奏。音楽が自然に流れていくという印象。音域も広く、ファゴットの豊かな音色を楽しめる。

無伴奏チェロ組曲という選曲は正解だったと思う。音域的にも無理がない。
それでも超絶技巧なのは確か。ブレスを入れるタイミングが難しいだろうな、と思う。

後半は20世紀以降の作品を集めた。
『竜夢』の作曲者・福士則夫氏はお父さん。自身のリサイタルのために父親に新作を頼めるなんていいよなあ。。。
こういう委嘱作品の初演を聴けるのも「B→C」の楽しみのひとつ。
さまざまなファゴットの音色を効果的に使っている。ジャズ・サックスで言うフリーキー・トーンのような音も聞こえた。およそ9分、充実した音楽だったと思う。

ヌッシオという人の名前は初めて聴いた。
不協和音が使われてはいるが、現代音楽ではない。旋律が明確で聴きやすい。センチメンタルなメロディーが飛び出して来てビックリだ。
それでもペルゴレージのメロディーがいちばん印象に残るのは仕方がないのか…。

最後のディヴェルティスマンはフランセらしい曲。
これも聴きやすい曲だ。

もう1曲くらいバリバリの現代曲があっても良かったかなとも思う。
最後の2曲は聴きやすいし、いい曲だと思うが、「B→C」としてのインパクトにはちょっと欠けるかな。
構成としては父上の『竜夢』をラストに持って来ても良かったのではないかと思う。

アンコールのイベール、小品ながら良い。
イベールらしい映像を喚起する曲だ。

ちょっと注文を付けてしまったが、いいコンサートだった。
こういう言い方を失礼だと思うが、彼女は上手い。技巧は安定しているし、音の乱れもない。
音色はややドライでモダンな感じ。そのぶんキレがある。
こめかみに青筋をたてて演奏する様に大変な楽器なのだなあと感じる。

初リサイタル、しかと見届けた。

ファゴットの音というのは暖かくて心地よい。
オーケストラではあまり目立たないし、ソロ楽器としてはさらに活躍の場が少ない。
なので魅力的なファゴット奏者が増えるのは大いに歓迎すべきことと思う。

さて、来月はクラリネット。
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