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2012年09月09日22:58

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ツナグ

このところ辻村深月作品を集中して読んでいるが、文庫化された『ツナグ』を読んだ。
映画にもなったようだ。(最近私は映画に対して全く興味を失ってしまっている…)

死者に一度だけ会えるとしたら…。
生者と死者の仲介をする使者(ツナグ)。
使者にあなたは誰に会うことを願うのか。

そんな設定で描かれた連作長編。というか短編集?

これはいい。
ミステリーではない。
だが、やはりミステリー作家の作品だなあと思えるのはちょっとした仕掛けが巧みだからだ。

アイドルに会うことを願う地味なOL。
癌で亡くなった母に会うことを願う傲慢で不器用な長男。
親友に会うことを願う女子高生。
失踪した婚約者に会うことを願う男性。
そして、使者自身の物語。。。

どの話もいい。
小説としては技巧炸裂の作品だと思うが、それは作者の意図したものではあるまい。
作者が描きたかったのはそれまでの作品で繰り返しいろいろな形で描いてきた「人との絆」なのだと思う。絆は必ずしも良いものばかりではない。そうしたことを含めて、作者が注ぐ登場人物への視線は優しさに満ちている。

そこに描かれるのは圧倒的な喪失感。
それを前にして感じるのは深い絶望。しかし、人はそれでも生きていくのだ。

さて、死者に一度だけ会えるとしたら、誰に会いたい?

注意しなければならないのは、死者に会えるのは生きている間にただ一度のみ。また死者も生者に会えるのはただ一度のみ。

その死を看取れたかどうか、それが判断のひとつになるように思う。
最期を看取ることで気持ちに決着がつくというのはあると思うのだ。
いずれにせよ、ただ一人。
訊きたかったことがある、言えずに終わってしまったことがある、などなど、いろいろな想いがあることだろう。あの人に会ったら、この人に会ったら、亡くした人それぞれに対して思い描くものがあるはずだ。
誰に会いたいか、誰に会うべきか、迷う。
そのうえで、誰にも会わないという選択もある。

誰にも会わせる顔がない、というのは別問題だからね。

さて、これで辻村作品も一段落。

湊かなえの未読のものを2冊読んで、新装版の十二国記を再読したら、そろそろ美術検定の勉強でも始めるか。
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