私はラファエル前派の絵画作品が好きだと公言している。
ラファエロ以前の絵画を理想とする、イギリスで起こった流派である。とは言っても実は物語性の強い象徴的な作風が多い。ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティやジョン・エヴァレット・ミレイがよく知られているが、忘れてはならないのがエドワード・バーン=ジョーンズで、私の大好きな画家の一人だ。
そのバーン=ジョーンズ展が丸の内の三菱一号館美術館で開催されている。
彼の展覧会は日本では初めてなのだそうだ。
ラファエル前派も日本ではまだマイナーだということなのだろう。
アートに興味のある人でフェルメールを知らない人はほとんどいないだろうが、逆にバーン=ジョーンズを知っている人は少数に違いない。それはともかく、彼の作品をまとめて観ることができる貴重な機会だ。
色彩豊かだし、動きもあるのに、何故だか静謐な画面という印象なのだ。
本来ダイナミックな場面を描いているはずなのに、何故か静けさを感じさせる。物語性も強いのに、叙事的と言うよりは抒情的。
タッチは繊細で緻密。女性を美しく描くことにも秀でている。ただし、彼の描く女性は感情を押し殺したように温度感が低い。
ロセッティの描く女性が魔性を秘めているのとは違って、バーン=ジョーンズの描く女性はより透明な感じがする。まるで甘んじて辛い運命を受け入れる覚悟ができているかのようだ。
そうか、諦観なのかもしれない。それゆえに耽美性が高いとも言えるだろうか。
詩人でありデザイナーでもあるウィリアム・モリスとの交流も詳しく説明されている。
モリスの書いた物語にバーン=ジョーンズが絵を付けるということも多かったようだ。
彼の下絵に後のモリス商会が作成したタペストリーは相当凄い代物である。これだけでも観に行く価値があるというものだった。
バーン=ジョーンズの代表作が多数展示されていて、かなり見応えがあった。
日本で初めての彼の展覧会ということでは充実していたと言えるだろう。
それなりに人も多く、これでラファエル前派が広く知られるようになってくれればいいと思う。
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