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2011年08月31日21:28

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ニールセンっていいよね

カール・ニールセンという作曲家をご存じだろうか。
フィンランドのシベリウスと同年生まれのデンマークの作曲家である。ロマン派終焉後の有数のシンフォニストという点で共通している。
もっとも、シベリウスに比べるとずっとマイナーだが…。

交響曲第4番『不滅』、この曲名を聞いたことのある人は多いのではないか。
ニールセンの代表作である。カラヤンが録音したことでも話題になったし、そのことでニールセンの名が広く知られるようになったようにも思う。

古典的な見た目をまといつつ尋常でない交響曲を作り続けたニールセンだが、この曲からいよいよイッちゃった加減が、いや革新性があらわになってくる。
第一次大戦中に書かれたということである。タイトルは正しくは『滅びざるもの』ということで、いわばベートーヴェンの『運命』のような闘争の音楽である。それにしても激しい音楽だ。牧歌的なアレグレットと緊張感のあるアダージョを激烈なアレグロが挟むという構成。
最初に聴いたときは衝撃的だった。
ことに後半のティンパニの暴れっぷりには驚いた。
ある意味わかりやすい名曲と言える。代表作となるにはそうしたポピュラリティというのは大切な要素だと思う。

しかし、最高傑作というなら、続く5番だろう。
単一楽章と言いつつも古典的な4楽章とも解釈できる4番と異なり、これは2楽章構成。打楽器も拡大され、スネア・ドラム(小太鼓)が大活躍する。
これは聴けば聴くほど味が出る曲だ。
以前は「不滅もいいけど、ニールセンといったら5番だよ」などと言って得意がったものである。あの当時は『不滅』ですらマニアックだったのだが、今はもう5番も傑作との認識が広まっているので通じなくなってしまった。

最後の交響曲となってしまった6番は『シンプル』あるいは『素朴』というニックネームを持つ。実際は「どこが素朴なんじゃい」と言いたくなるような作品である。前二作のような激しさはないが、そのぶん清澄な響きに溢れている。書法はより難度が高くなり、構造も複雑になっているのに、何故か響きは軽くユーモラスになっているという不思議な作品。打楽器はより拡大され、20世紀音楽に通じる響きとも言える。強面でないニールセン。優しげな表情をまといつつ、でもやっぱり複雑怪奇なニールセン。もしかしたら、この曲こそが最高傑作かもしれない、とこのごろは思うのだ。

これら破天荒な3曲の印象が強すぎるのだが、それ以前の3曲も尋常でないことは間違いない。
『四つの気質』という副題を持つ2番は結構人気がある。胆汁質、粘液質、憂鬱質、多血質、というのがそれぞれ楽章に割り当てられている。

4番以降は全曲通して基本となる調が存在しない。よって「なになに調」という記載がされない。多調音楽と言えるのかもしれない。マーラーの後半の交響曲にもこの傾向はある。

私が初めてニールセンという作曲家を知ったのは中学生のころだったろうか。
ちょうどオレ・シュミット指揮のロンドン響による全集版LPが出て、それを紹介した夜中のFM番組を録音したのだ。たぶん「知らん作曲家でなんかおもしろそう」という直感が働いたのだろう。それが『不滅』だったわけだが、それはもうひっくり返るくらいおもしろかったのだ。
しかし、そこからが大変だった。
LP6枚組だなんてゲットできるはずもない。バーンスタインが『不滅』を録音しているのを知ったものの、ショップを歩き回っても見つからない。注文したらメーカー在庫無しとのこと。事実上の廃盤である。
結局テープが伸びるまで聴いた。
LPを入手したのは高校生になってから。ブロムシュテットの最初の録音だったと思う(デンマーク放送響)。やっとレコードで聴けるという喜びは大きかったが、演奏自体はちょっと物足りないような気がした。
シュミットの豪快な演奏に慣れてしまったのだろう。
そのすぐ後に5番も入手。これはホーレンシュタインの指揮だった。
それからずいぶんたって、シュミット盤を輸入盤のバラで全種をゲット。これはホントに擦り切れるまで聴いた。
CD時代になってからは世評の高いブロムシュテットの全集盤(サンフランシスコ響との新しい録音)をゲットしたが、やはりなんか物足りなかった。
それでしばらくニールセンから離れていた。
で、先日聴き応えのある全集をゲット。録音自体は新しいものではない(80年代後半)。
いまや名指揮者と言われるようになったエサ・ペッカ・サロネンがスウェーデン放送響を指揮した若き日の録音である。いまはすっかりオッサンだが、このころはイケメンだったんだね。
基本はスタイリッシュな演奏なのだが、ニールセンの破天荒さを破天荒なままに演奏しているところがいい。やはり若い頃から非凡だったのだなあ、と思う。
かつて好きだった3番『ひろがり』なんかはブロムシュテットの演奏でつまらなく感じて好きでなくなったのだが、サロネン盤は最初からワクワクさせてくれる。やっぱりいい曲じゃないかと思う。やはり演奏者によってずいぶん変わるものなのだな。
いくつかの管弦楽曲とヴァイオリン・コンチェルトまで入った6枚組。海外盤だがSONYの正規リリースで流通価格4000円前後は安いだろう。一切解説がないのは難だが、情報はネットを漁ればいくらでも出てくる。ジャケットもチャチだが、まあ許容範囲だ。これはお買い得だと思う。何よりも演奏で聴かせる。
サロネンってメシアンとかリゲティとかルトスワフスキとか骨っぽい選曲してたんだよね。同じ北欧出身とはいえ、ニールセンも型破りな選曲だったのかも。ジャケットを見ると、レコード会社は明らかにアイドル的売り方を意図していたと思うが、それに納まるタマではなかったということだな。

さて、『不滅』のティンパニ・バトルは実演で見るに限る。
というわけで、来年絶好の機会がある。トーマス・ダウスゴーという指揮者が新日本フィルを振るのだ。しかもカップリングがシベリウスの7番である。これは是非聴きたい。いくら認知度が上がったからといってもニールセンを聴ける機会はやはり貴重だよ。
3月15日(木)、サントリー・ホール。
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