ニューエイジ系ピアニストの西村由紀江のデビュー25周年を記念するベスト・アルバム『スマイル・ベスト』がリリースされた。
実際にリリースされたのは今日なのだが、昨日ゲット。フラゲ、いわゆるフライング・ゲットというやつだ。本や雑誌やゲームは厳密に発売日が守られているが、CDやDVDは前日に店頭に並ぶのがもはや常識。堂々と前日入荷を告知しているショップも少なくないので、ルール違反というわけではないのだろう。
で、今回のベスト・アルバムは単に曲をピックアップして並べただけのものではない。セルフ・カバー、つまり再アレンジ再録音ということである。レコード会社を移籍したゆえに過去の音源が使えないという裏事情もあるのだろうが、やはり音楽家として過去を総括してみたかったというのが実際のところだろうと思う。
収録曲数は2枚組で27曲。数百曲ある中から選ぶだけでも大変だったろう。
私は必ずしも熱心な聴き手ではないので、この選曲がベストなのかどうかはわからない。自分の好きな曲はたくさん漏れている。まあ、これは仕方がないだろうと思う。
変わらない、と言われつつも、やはり作風の変化はあったように思う。初期のスムース・ジャズのようなリズム・セクションを強調した音作りと、近年のピアノ・ソロを中心とした音作りは明らかに異なる。曲作りのセンスは変わらないとはいえ、やはり前者のフォーマットではそのピアノが十分に生きているとは言い難いものがあると思う。
やはりこの人のピアノが生きるのはソロではないだろうか。ほかの楽器があっても飽くまでも隙間を埋めるといった役割に徹してくれている方がいいようだ。
今回のセルフ・カバーもほぼ半数がソロである。ほかのバージョンでも楽器の使い方は控えめだ。リズム・セクションの入ったものも3曲ほどあるが、ピアノが主役という主張が感じられる。
やはりこれが今の彼女のスタンスなのだろう。
彼女を知るきっかけとなった『Screen』がソロ・バージョンで生まれ変わったのが嬉しい。当時はともかく、今になってみるとオリジナル(2ndアルバム収録)はやはりシンセやリズム・セクションの音が邪魔に感じる。というわけで、今回のソロ・バージョンは嬉しい。ゆったりとしたテンポで、中間は即興的な雰囲気もあり、熟成したという印象を受ける。
1stの『Farandole』もソロ・バージョンになって、より魅力的になった。
超絶技巧ではない。
音数も少ない。
それでも音楽として成立している。音楽とはおもしろいものだ。
シンプル・イズ・ビューティフルと言えるのかもしれない。
そして、変わらない素晴らしさというのも世の中にはある。
今回は意外なほど技巧的に弾いている箇所もあってかなり新鮮に感じた。
やはりこの人にしか表現できない世界があるのだなと思う。
そういうミュージシャンは強い。
しかし、逆にそれが制約にもなりかねない。
いい意味でファンを裏切ることができるのかどうか、今後を楽しみにしたいと思う。
もっとも、変わらなければ変わらないで、それも大したものだと思うのだろうが…。
デビュー当時から、良きにつけ悪しきにつけ、美人コンポーザー・ピアニストという売られ方をしていた。
しかし、若かったころよりも今がいちばん綺麗なのではないかと思う。
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