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2010年08月27日22:45

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天使の歌声を擁するグループ

ルネッサンス(Renaissance)というバンドをご存じだろうか?
この名前からソリッドでラウドなハード・サウンドを想像することは難しいだろう。当然のことながらクラシカルな音を想像するだろうし、それは当たっている。
ロックにもこんなに綺麗な音楽があるんだ、そう思わせてくれるバンドだ。

オーケストラを配した劇的な曲で70年代に一時代を築いた名バンドである。何よりも「天使の歌声」の名声を欲しいままにしたアニー・ハズラムという稀代のヴォーカリストの存在が大きい。
今でこそ女性ヴォーカルをフロントに立てたバンドは少なくないし、ゴシック・メタルあたりだとクリアーなハイトーン・ヴォイスを擁したバンドも数多い。しかし、70年代にそういうバンドは少なかった。さらにプログレッシヴ系となるとさらに希少だった。とはいえ、アニー・ハズラムが名声を博した理由はその美声と歌唱力にほかならない。
後の多くの女性シンガーが直接間接を問わず多かれ少なかれ彼女の影響を受けているのは間違いないだろう。未だに天使系のシンガーが現れると必ずと言っていいほど引き合いに出されてくる。ちなみに、妖怪メタルの陰陽座が誇る紅一点の超絶ヴォーカリスト黒猫もアニー・ハズラムからの影響を公言している。
改めて聴いてみると、結構クセのある声をしているのだが、天使声という印象は変わらない。

そんな天使声をフィーチャーしつつ、クラシカルなピアノを中心にしたシンフォニックなサウンドを奏でていたのがルネッサンスというバンド。
実は元々ルネッサンスというのはヤードバーズのメンバーが始めたバンドで、女性ヴォーカルを立てつつもブルース色の強い音楽を演奏していた。これが短命に終わり、名前は引き継いだものの、メンバーがガラリと変わったのが、今話題にしているルネッサンス。よって、別バンドとして捉えた方がいいくらいで、前身を敢えてオリジナル・ルネッサンスと呼んで区別することも多い。
よって何の断りもなくルネッサンスというと、アニー・ハズラム(vo)、マイケル・ダンフォード(ag)、ジョン・キャンプ(b,vo)、ジョン・タウト(key)、テレンス・サリヴァン(ds)というメンバーのルネッサンスを意味する。
確かに長尺の曲が多いし、クラシックから影響も大きい。ただEL&Pのようなクラシック曲のアダプテーションというのではなく、雰囲気がクラシック的ということであって、むしろトラッドからの影響の方が大きいのではないかと思える。さらに、ブルースの影響は全くないと言っていい。
基本的にエレクトリック・ギターが使われることはほとんどない。
そんなサウンドをロックたらしめているのはキャンプ&サリヴァンのリズム・セクションで、クラシック的だろうがトラッド的だろうが、やはり根っこはロックなのである。
といいつつも、綺麗なメロディーを持つ曲が多い。ロマンティックというかファンタジックというか、たいていの曲はそんなイメージに当てはまる。美声が生きるのも、美メロあってこそ。
さらに、主にベティ・サッチャーという女流詩人が手がけた歌詞も味わい深い。

70年代に作られたアルバム(スタジオ盤7枚とライヴ盤1枚)はどれも名作と言える。
最初の『プロローグ』はまだアニー・ハズラムのヴォーカルを生かしきれていないと思う部分もあるが、それ以降のアルバム、『燃ゆる灰』『運命のカード』『シェエラザード夜話』『お伽噺』『四季』はロック史に燦然と輝く名盤だ。70年代最後の『碧の幻想』はオーケストラをシンセに代え、よりコンパクトにまとまった曲集。壮麗さは薄れたが、これはこれで悪くない。
再編後の80年代の2枚は時代を反映したニューウェイヴなポップ作品になっていて、ルネッサンスとしては少々厳しい。ただ、ルネッサンスということを考えなければよくできた作品で、アニー・ハズラムの多様な歌を楽しむというだけでも聴くべきところは多い。

驚くべきはカーネギーホールでのライヴ盤。共演はなんとニューヨーク・フィル。あの時代、いかにこのバンドがビッグだったかを物語る共演者だ。ベスト盤的な趣もあり、長尺曲を難なく演奏してしまうバンドの力量に恐れ入ってしまう。さらに、アニー・ハズラムの歌はスタジオ盤と変わらないほどのクォリティの高さ。もちろんフェイクなし。すごいシンガーだなあ、と改めて驚かされる。

名作群がリイシューされたのをきっかけに集中的に聴き直してみたが、色褪せるどころか、さらに輝きを増して聴こえる。
女性ヴォーカルの台頭が著しい今だからこそ、見直される点も多いのではないかと思う。
70年代ロックの表現の多様性を示す名バンドと言えよう。あの時代のロック・バンドはそれぞれがそれぞれの個性を誇る百花繚乱の趣だった。スタイル化してしまう以前のロック・バンドは根性の入り方が違うのだ。それが未だに聴き続けられている理由なのだろう。

写真は左から、出世作『燃ゆる灰(Ashes Are Burning)』、最高傑作の誉れも高い『シェエラザード夜話(Scheherazade And Other Stories)』、私が初めて聴いたルネッサンスのアルバム『お伽噺(Novella)』。
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