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2010年07月14日23:26

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三浦友理枝&遠藤真理@YAMAHAホール

平日夜のコンサートは久しぶりだ。
今年新装オープンとなった銀座のYAMAHAホール。改築前、ずいぶん昔に行ったことがあるが、よく覚えていない。。。

今夜は「三浦友理枝&遠藤真理デュオ・リサイタル」と銘打ったコンサート。ピアノとチェロのデュオである。
また三浦友理枝かよ、と言われそうだが、その通りです。。。
彼女のピアノにはそれだけの魅力があるのだから仕方がない。
実は室内楽も上手いのだ。もともと彼女にとっての初レコーディングはシモーネ・ランスマという女流ヴァイオリニストとのエルガーの作品集だった(naxosレーベル、入手は容易)。日本デビュー前の演奏が聴けるというだけでなく、室内楽ピアニストとしても十分に資質があることを窺わせるものだった。
まして、今回の相手はトリオで気心の知れている遠藤真理嬢。デュオでのコンサートも多い。

01.フォーレ:シチリアーノ
02.フォーレ:パピヨン
03.ラヴェル:ハバネラ形式による小品
04.ファリャ:スペイン舞曲
05.プーランク:チェロ・ソナタ
<休憩>
06.ショパン:雨だれ(ピアノ・ソロ)
07.ショパン:チェロ・ソナタ
<アンコール>
08.オッフェンバック:ジャクリーヌの涙
09.シューマン:トロイメライ

小品での快い語り口は魅力的。ことにフォーレがよい。

とはいえ、大曲の印象が強くなるのは仕方のないところ。
前半のプーランク、後半のショパン、それぞれのソナタが今回の目玉と言っていいだろう。

ショパンのチェロ・ソナタは演奏者によって名曲にも聴こえるし、そうでなくも聴こえる。
第2楽章から第4楽章はコンパクトにまとまっているのだが、全体の半分(つまり第2楽章から第4楽章までと同じ)を要する第1楽章が問題なのだ。ショパン独特の旋律的な魅力は大きいが、いささか冗長に過ぎる。もともとガッチリした構成で曲を書くのが得意な人ではないので、15分というのはいささか長い。さらに精緻なピアノ・パートに比べると、チェロ・パートは…。
つまり聴かせる演奏をするのは非常に難しいということだ。そういう点ではチェリストにとって腕の見せどころというものなのかもしれない。
前置きが長くなったが、いつもは長く感じる第1楽章がとても短く感じられた。もっと長く聴いていたいと思ってしまうほど。
切なげなメロディーと美しい音色に心地よく身を任せることができた。真理嬢が非凡なのはメロディーの歌わせ方の上手さと、柔らかく暖かな音色を持っていることだ。迫力には欠けるかもしれないが、彼女のチェロの音色は心に染み入ってくる。構成だ書法だなんてことはどうでもよくなってしまった。かつてないほどいい曲に聴こえた。もちろん、透き通るような美音と強靭な低音で支えた友理枝嬢のピアノも素晴らしかった。
よって、第2楽章以降も楽しく聴くことができた。

さらに素晴らしかったのは前半のプーランクだ。
数多いチェロ・ソナタの中でも名曲中の名曲と言っていいと思うのだが、イマイチ人気がないようだ。プーランクも通向けという位置付けなのだろうか…。だとしたらもったいない。
豊富な音色のパレットを駆使しての演奏。クラシックに使う言葉ではないが、グルーヴ感がある。微妙な音色の変化や繊細な歌い回しで勝負するチェリストかと思いきや、ある種の豪快さも兼ね備えているようだ。おおらかで生命力の溢れる音楽を奏でる。
友理枝嬢のピアノもさすがだ。押すところは押し、引くところは引く。ともすればチェロを食ってしまいそうになるくらい雄弁なピアノなのだが、そうなる手前で留まっている。絶妙のコンビネーションだ。
マーチっぽい第1楽章、切なく抒情的な第2楽章、弾むようなリズミカルな第3楽章もいいが、シリアスな雰囲気の色濃い終楽章がひときわ印象的だった。
こういうメジャーとは言えない曲をプログラミングするのも魅力だ。

アンコールに『ジャクリーヌの涙』を持ってくるとは驚いた。
秘曲というべきものかもしれないが、哀愁のメロディーをめいっぱい歌わせるいい曲だ。暖かな音色の真理嬢にピッタリの曲だ。友理枝嬢はきっちりサポートに徹していた。
ちなみに真理嬢の1stアルバムに弦楽合奏版が収録されている。アルバムタイトルもこの曲から取られている。

充実した内容のリサイタルだった。
ホールの響きもなかなか良いようだ。ちょっと残響が深い気がしないでもないが…。
無理してでも行った甲斐はあったな。
トリオを組むことの言い出しっぺは真理嬢なのだそうだ。なんて素晴らしいことを思いついたんだ、と感心してしまう。
ルックスがいいのは確か。しかし、何よりも彼女たちは真に演奏家だ。

さて、これでしばしのお別れ。
次に彼女たちの演奏を聴けるのは10月の仙台ということになる。
その前に友理枝嬢には試練の「B→C」が待っているのだが…。
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