やはり、いつ聴いてもスザンヌ・ヴェガはいい。
先週2010年版リマスター盤がリリースされた。対象は1985年のデビュー・アルバムと87年のセカンド・アルバム。それぞれ『街角の詩』、『孤独(ひとり)』という邦題が付いている。
女性版ボブ・ディランとも言われたシンガーソングライター。
ジョニ・ミッチェルやキャロル・キングの系譜を受け継いでいる。都会的ということでは、ローラ・ニーロと相通じる部分もある。ただ、ローラ・ニーロが女性的な生々しさを感じさせるのに対し、スザンヌ・ヴェガの質感はひんやりとしている。
自己内省と社会批判。都会の孤独感と寂寥感。
ぶっきらぼうな感じのヘタウマ系。ちょっとクールで凛としているかと思えば、無防備な少女のように聴こえることもある。
1stはまだこなれていない面もあり、ヴォーカルも妙に力の入ってしまっているところもある。とはいえ、初々しい生硬さはむしろ好ましく感じる。当時はそんなに話題になっていたという記憶がないのだが、口コミで広がったのだろうか。久しぶりに聴いてみたが、未完成ながらも随所に光るものを感じる好盤だ。
2nd『Solitude Standing』は掛け値なしの傑作。1stからの進化には目覚しいものがある。未だによく聴いている。冒頭のアカペラ『トムズ・ダイナー』はCMに使われていたので、聴けば覚えのある人も多いだろう。児童虐待をテーマにした問題作『ルカ』や穏やかな揺り籠のような『ジプシー』など、楽曲のレベルの高さは半端ではない。孤独というのは淋しいものではない。自己を守るための最後の砦。言い換えれば自分らしくあることの矜持。そんなことを静かに訴えかけてくるようなアルバム。孤独と書いて「ひとり」と読ませた邦題はなかなか良いように思う。
温度感は低く、凍てついた街を連想させる。自分にとっては最高レベルの特別な1枚。
ディランの築いたフォーク・ロック・サウンドは確かにここに生きている。
以降のアルバムのリマスタリングも期待したい。
3rdの『夢紡ぎ』はカラフルなサウンドが魅力のいいアルバムだ。続く『微熱』はインダストリアル・サウンドに近づいた野心作。
スザンヌ・ヴェガにはジンが合う。
マティーニのベースに使われるジンは孤独感を癒してくれるのにいい酒だ。
醒めた中にも優しさが感じられる彼女の声によく似合う。
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