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2010年01月26日22:26

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自由の鐘を鳴らそう

Let Freedom Ring 〜 自由の鐘を鳴らそう

これはマルティン・ルーサー・キング牧師の『I Have A Dream』と呼ばれる有名な演説の中の一節。

それをそのままアルバムのタイトルに借りたのがジャッキー・マクリーン。ブルーノートの「4106」の番号を与えられ、彼を語るにおいて避けることのできない名盤だ。
ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)、アルト・サックスで激動の時代を生き抜いたモダン・ジャズ・ジャイアンツ。マクリーンのサックスは決して美音ではない。ポール・デズモンドやアート・ペッパーとは正反対の音だ。声でいえばハスキー・ヴォイス。ゆえにひたすらエモーショナル。泣きのアルト、慟哭のアルトである。胸に突き刺さるようなハスキー・トーン。
皮肉なことにリーダー・アルバムよりもサイド・メンとして参加したアルバムの方に名盤とされるものが多い。たとえば、チャールズ・ミンガスの『直立猿人』、ソニー・クラークの『クール・ストラッティン』、マル・ウォルドロンの『レフト・アローン』などなど。マクリーンを呼べば名盤ができると言われたとか…。名盤請負人と言えるかもしれない。
そんな彼の新しい時代に突き抜けようとするターニング・ポイントとなった作品がこの『レット・フリーダム・リング』である。咽び泣くような独特のアルトの音色はそのままに、ときにフリーキー・トーンを交え、先鋭的で刺激的なソロを展開する。
この後、限りなく新主流派に近づき、さらにはフリー・ジャズにも接近したことを思うと、このアルバムがいかに重要だったかがよくわかる。

ハービー・ルイスというベーシストはよく知らないが、いいベースを弾いている。ドラマーのビリー・ヒギンズはオーネット・コールマンのグループでデビューしただけに「新しい」音楽に強い。気心の知れたウォルター・デイヴィスのピアノがまた味わい深い。しかし、新しい扉を開けようというマクリーンに対して、デイヴィスは明らかにハード・バップ側に両足を留めている。噛み合わなくなる寸前の絶妙なコラボレーションは奇跡的とも言える。彼にとっても相当「燃えた」演奏だったのではないかと思う。逆に彼がバップのイディオムでしっかり弾いてくれたからこそ、マクリーンが自由に羽ばたけたとも言えるだろう。

収録曲は以下の4曲。
01.Melody For Melonae
02.I'll Keep Loving You
03.Rene
04.Omega

バド・バウエルによる2曲目以外はマクリーンのオリジナル。いずれも家族にちなんだタイトルを持つ。1曲目のメロネーは娘、3曲目のルネは息子、4曲目のオメガは母。となると、2曲目は奥方ということになるだろうか。さしずめマクリーン版家族の肖像といったところだ。
しかし、『メロディー・フォー・メロネー』は娘に捧げたとは思えないほど、悲劇的なたたずまいで緊迫感がある。マクリーンは自由自在に吹きまくる。フリーキーなトーンもあるのに、驚くほどメロディアス。即興で出てきたものとは信じられないくらいだ。
さらに2曲目は泣きのバラード。これこそマクリーンの真骨頂。泣きまくり。それなのに音の組み立ては新しい。フリーキー・トーンは心の叫びだと思わされるほど違和感がない。
マクリーンはどの時代でも基本的には「泣き」のアルトを吹く。結局マクリーンは新しい世界に全てを委ねるには至らなかった。それゆえ、先鋭的なのに泣きまくる、という独自のスタイルができたわけだ。
3曲目と4曲目も色合いは一緒だが、曲調が明るいぶんややリラックスしたムードが感じられる。旧A面のテンションの高さと比べてしまうのは酷だが、それはそれでジャンピーな感じで悪くない。

さて、タイトルの話に戻ろう。

Let Freedom Ring 〜 自由の鐘を鳴らそう。
これは新しい世界に飛び出していこうというマクリーンの決意表明だと言えるだろう。
そして、モダン・ジャズが黒人の音楽であったということを忘れてはならない。彼らにとって音楽をやるということは闘いでもあったのだ。理不尽な差別の中で生きなければならなかった彼らが発展させた音楽は文字通り自由なものだった。
怒りでもあり、希望でもあり。
マクリーンがこのタイトルに託した想いは深い。
今われわれは人種による優劣がないことを知っている。ジャズを聴くということはそういうことでもある。
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